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» 2021年03月06日 08時00分 公開

「新車全てEV」「エンジンに投資しない」という欧米勢、熱効率50%に尽力できる日本勢自動車業界の1週間を振り返る(2/2 ページ)

[齊藤由希,MONOist]
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あまりにも対照的な、日本と欧米の方針

 さて、今週MONOistで公開した自動車関連の記事についても紹介したいと思います。バッテリー関連で個人的にいいニュースだなと思ったのは「欧州でもEVバイクの交換式バッテリーを標準化へ、ホンダとヤマ発など4社が協業」です。既に、日本国内では二輪車メーカー各社がEVバイクの交換式バッテリーで協調路線ですが、それが海外にも広がります。

 この件は、バイクの電動化が進むだけでなく、身近な蓄電池の普及にもつながる取り組みです。例えば、ホンダにとってEVバイクの交換式バッテリーは、持ち運べる蓄電池という位置付けでもあります。単なる非常用の電源ではなく普段はバイクのバッテリーとしてフル活用できるのも、効率の面で面白いのではないかと個人的に期待しています。

 最近、近所を走る郵便配達のバイクが「BENLY e:」であることが増えてきました。決まったエリアの物流に使う車両を電動化する上で役に立つ知見が郵便局に蓄積されていっているのではないでしょうか。

 内燃機関不要論とも言いたくなる動きが増えてきました。例えば、旧グループPSAと旧FCAが合併したステランティスは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンにこれ以上投資するつもりはなく、当面のエンジン車には既存技術を使う方針であると日本経済新聞が報じました。また、Jaguar Land Rover(ジャガーランドローバー)やボルボは、ラインアップをゼロエミッション車のみとします。そういった環境下でも日産自動車がエンジン技術によるCO2排出削減に取り組むのは実に対照的です(関連記事:日産はe-POWERの燃費を25%改善へ、発電用エンジンの熱効率50%で実現)。

 欧米の動向と同じ路線でない日系企業の取り組みについて、ネガティブに捉える人は少なくありません。「もうエンジンに投資しない」とまで他の自動車メーカーで言われているのに、テスラがEVを大幅値下げできるほど前進を続けているのに、他の伝統的な自動車メーカーがこれだけEVに注力しているのに、日本の自動車メーカーは何をしているんだ、というトーンになりがちです。機械屋のロマンと意地でエンジンにこだわり続けているのか、と指摘するような人もいるでしょう。

 2015年に、マツダの人見光夫氏が「消費者が元を取れない高価な環境技術ではいけない。エンジンの実用燃費を追求することで、環境にも財布にも優しいクルマを提供する」という趣旨の発言をしていました。もう何年もたって、環境規制をめぐる状況が全く違うのは承知の上ですが、何が消費者のためなのかを追求する姿勢は自動車メーカー各社にどうか忘れずにいてほしいですね。誰もが自宅に充電環境を用意できるわけではない以上、自動車メーカーがEVしか売らなくなるのは困ります。「EVがだめなら中古車しかない」という日がくるのでしょうか。選択肢がなるべく多様であってほしいと一人の自動車ユーザーとしては思いますが、それで自動車業界が立ち行かなくなるなら、自動車ユーザーが変わらなければなりませんね。

→過去の「自動車業界の1週間を振り返る」はこちら

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