マツダは2025年度の業績見通しが「未定」、販売は前年度並みを維持電動化(1/2 ページ)

マツダは2024年度の決算を発表した。売上高は前年度比4.0%増の5兆188億円、営業利益は同25.7%減の1861億円、親会社の所有者に帰属する当期純利益が同45.1%減の1140億円だった。

» 2025年05月13日 07時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 マツダは2025年5月12日、2024年度(2025年3月期)の決算を発表した。売上高は前年度比4.0%増の5兆188億円、営業利益は同25.7%減の1861億円、親会社の所有者に帰属する当期純利益が同45.1%減の1140億円だった。

 2025年度(2026年3月期)の業績見通しは、米国政府の関税政策の動向など事業環境が不透明な状況が続き、現時点で合理的な業績予想を算定することが困難だとして未定にした。関税課税後の車両販売が本格化すると想定される第1四半期(2025年4~6月期)の決算発表までに、政策の動向や影響を精査の上で状況をアップデートするとしている。

2024年度の業績[クリックで拡大] 出所:マツダ

 2024年度の売上高は過去最高で、マツダとしては初めて5兆円を超えた。グローバル販売台数は前年度比5%増の130.3万台で、北米が過去最高の販売を達成して成長をけん引した。一方、営業利益は競争激化や品質対応により出荷台数が目標に届かなかったなどの影響を受けて減少した。当期純利益は、営業利益の未達や欧州の商品ラインアップ変更による特別損失の計上により減少した。

 営業利益の増減要因を見ると、前年度比での出荷台数の増加、ラージ商品群の貢献、高収益な米国の台数増加が増益要因となった。一方、販売奨励金が1249億円増加した他、人件費の上昇、研究開発費や減価償却費の増加が減益要因となり、前年度からはマイナスとなった。

2024年度の台数実績[クリックで拡大] 出所:マツダ
2024年度の営業利益増減要因[クリックで拡大] 出所:マツダ

米国の関税政策への対応

 米国の関税に対しては、前年並みのグローバル販売台数を目指し、仕入れ先や販売店とともに雇用や事業を守る考えだ。部門横断の対応チームを立ち上げて、モデルミックスや仕様の最適化によって収益の最大化を目指す。工場の安定操業に向けて、グローバルでの販売機会を検討、最適化し関税の影響を抑える。「特に日本の生産台数をしっかり守っていきたい。一時的に下回ることがあっても、70万台のレベルに必ず戻していきたい」(マツダ 代表取締役社長の毛籠勝弘氏)

 現状では先行き不透明感が強いため、コントロールしやすい変動費や固定費の削減を進める。コスト低減活動を加速し、コストと支出の優先順位を緊急で見直す。経営のレジリエンス強化の機会と捉えて前向きに取り組むとしている。

 マツダが影響を受ける関税は次の通り。日本で生産する車両に対しては、最恵国待遇関税を含めてトータルで27.5%の関税率となる。メキシコ生産車は、USMCAに適合しているが、米国以外からの調達部品が関税の影響を受ける。米国のアラバマ工場で生産している「CX-50」も、米国外から調達する部品が関税の対象となる。また、米国生産車をカナダに輸出する際には報復関税の対象となる。

 「関税の影響は4月単月で90億~100億円とみている。ただ、さまざまな特殊要因があるので、通期の業績見通しにそのまま反映できる状況ではない。通期としてはまだ流動的だ」(毛籠氏)

 アラバマ工場では2024年にCX-50を11.3万台生産しており、このうち9万台が米国内で販売された。現在はカナダ向けの生産を一時停止し、米国向けにリソースを振り向けている。

 「米国の新車販売は2025年3~4月に駆け込み需要が見られたが、5月に入って落ち着いているという。買い控えが広がることも考えられる中で、自動車メーカー各社がどのように提案していくかが読みにくい。2024年度は米国販売が大きく伸びたが、ボラティリティも最も大きい。米国以外の市場で1台でも多く積み上げていき、グローバルで2024年度並みの販売を確保したい」(毛籠氏)

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