京都大学とサイフューズは、末梢神経損傷に対する治療法として、バイオ3Dプリンタを用いた神経再生技術を開発した。手指の外傷性末梢神経損傷患者に対する医師主導治験を開始する。
京都大学は2021年1月15日、末梢神経損傷に対する治療法として、バイオ3Dプリンタを用いた神経再生技術を開発したと発表した。サイフューズとの共同研究による成果だ。
研究グループは、バイオ3Dプリンタを用いて細胞のみで3次元神経導管を作製し、ラットの坐骨神経損傷モデルに移植したところ、人工神経より良好で、自家神経移植に劣らない結果を得た。3次元神経導管を線維芽細胞から作製することで放出されたサイトカインや血管新生が、再生軸索の誘導に良い影響を与えたと考えられる。
今後、京都大学医学部附属病院にて、手指の外傷性末梢神経損傷患者に対する医師主導治験を開始する。治験では、患者の腹部または鼠径部から採取した皮膚をもとに、約2カ月間かけて3次元神経導管を製造し、患者の神経損傷部に移植する計画だ。
現在の末梢神経損傷に対する治療法は、患者自身の健常な神経を移植する自家神経移植が主流となっている。自家移植を回避するために人工神経の開発は試みられているが、自家神経移植と比べて良好な結果は得られていなかった。
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