TOUCH TO GOは2020年10月16日、紀ノ國屋と共同で、無人AI決済システムを導入した「KINOKUNIYA Sutto 目白駅店」をオープンした。店内のカメラと独自のAIアルゴリズムを組み合わせたシステムを使って、顧客が手に取った購入商品の品目などを自動認識することで、無人レジでの決済を可能にする仕組み。
TOUCH TO GO(TTG)は2020年10月16日、スーパーマーケットチェーンを展開する紀ノ國屋と共同で、TTG開発の無人AI(人工知能)決済システムを導入した「KINOKUNIYA Sutto 目白駅店(以下、KINOKUNIYA Sutto)」をオープンした。店内のカメラと独自のAIアルゴリズムを組み合わせたシステムを活用し、顧客が手に取った購入商品の品目などを自動認識することで、無人レジで決済が完結する仕組みを整えた。
TTGは、スタートアップの支援事業を展開するJR東日本スタートアップとAIソリューションなどを手掛けるサインポストの合弁会社として、2019年に設立された。2020年3月には、JR山手線の高輪ゲートウェイ駅構内に、無人AI決済システムを導入した第1号店「TOUCH TO GO」を開業している。今回のKINOKUNIYA Suttoでは、第1号店のTOUCH TO GOで使用しているAIアルゴリズムを改良して導入するなど、いくつかの工夫を取り入れている。また、TTGの無人決済システムを外部企業に提供した初事例となる。
KINOKUNIYA SuttoはJR山手線の目白駅改札外に位置する。店舗面積は40m2で、天井には約30台のカメラが設置されている。
自動入場ゲートをくぐって入店後、棚の商品から欲しい商品を選んで手に取る。この際、手提げ袋やリュックサックなどに商品をそのまま入れても良い。商品を選び終えた後は、無人レジのある出口付近の決済エリアに進む。
無人レジのディスプレイ上には、購入商品のリストと合計金額が表示される。支払いにはSuicaなどの交通系ICカードの他、クレジットカードも使える。2021年初頭には現金での支払いにも対応予定だという。決済完了後はそのまま退店できる。入店に先立って事前の会員登録などを行う必要はなく、初めて店に寄った人も問題なく買い物を楽しめる。なお、同時入店可能な人数は、約7人が目安となるという。
カメラには日立LGデータストレージが販売する、天井貼り付け型のToFセンサーを搭載する製品を採用した。店内の様子を画像と点群データとして取得し、それらを基に独自のAIアルゴリズムで顧客と商品の紐付けや、手に取った商品の品目判定、商品を手に取った後に棚へと戻したかなど、90%以上の精度で正確に判定する。
なお、これらのカメラやAIアルゴリズム、決済システムは既存店舗にも後付けで導入可能だ。
TTG 代表取締役社長の阿久津智紀氏は「KINOKUNIYA Suttoは一般的な商業施設より天井がやや低めだ。この場合、天井から店内を撮影すると死角が多く生まれるので、それを防ぐためにも本来は多くのカメラで売り場をカバーする必要がある。しかし、当社の技術的な工夫によって、第1号店のTOUCH TO GOでは約50台必要だったカメラの台数を、むしろ、30台にまで抑えることができた」と語る。
TTGはKINOKUNIYA Suttoの来店客数を1日当たり350人と想定する。売上目標は非公開。
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