OKIとエフィニックスが提携 低電力FPGAを設計から量産までワンストップで提供へ組み込み開発ニュース(1/3 ページ)

OKIとエフィニックスは業務提携を行い、FPGAの論理回路や搭載AI機器の設計から量産までをワンストップで受託するEMSサービスを展開すると発表した。

» 2025年07月24日 08時30分 公開
[坪田澪樹MONOist]

 沖電気工業(OKI)とEfinix(エフィニックス)は2025年7月22日、エフィニックス製FPGAのデザインサービスと搭載AI機器の設計/サービス事業で提携すると発表した。

 OKIがEMS(電子機器製造受託)事業やFPGA設計を含む製品開発で培ってきた豊富な知見/ノウハウとエフィニックスの小型で高性能、低消費電力でコストパフォーマンスに優れたFPGAを組み合わせ、医療機器/半導体装置市場向けにEMSサービスを展開する。これにより、OKIはより幅広い顧客へのサービス強化を図り、エフィニックスは日本国内の顧客拡大を目指す。

 この業務提携は、特に医療機器開発をターゲットとしている。医療機器で省電力、小型化、高精度、短納期、信頼性といった要素が求められていることから、エフィニックスのFPGAの柔軟性とOKIの豊富な開発/実装ノウハウ/IPと融合させて顧客の構想/設計段階から量産/アフターフォローまでワンストップで行う狙いだ。

 今回の業務提携を機に、OKIはエフィニックスのデザインパートナーとして正式登録され、エフィニックスのWebサイトにも掲載される。

 エフィニックス Vice President of Sales JAPI(Japan APAC and India)の中西郁雄氏(左)/OKI 執行役員 EMS事業部長の前野蔵人氏(右) エフィニックス Vice President of Sales JAPI(Japan APAC and India)の中西郁雄氏(左)/OKI 執行役員 EMS事業部長の前野蔵人氏(右)出所:OKI

エフィニックスが誇る「高性能/低消費電力/低価格」のFPGA

 エフィニックスは2012年に米国で創業したFPGA専門のスタートアップ企業だ。エフィニックスのFPGAは「高性能」「低消費電力」「小サイズ」「低価格」という特徴がある。プロセッサはライセンスフリーの「RISC-V SoC」を採用し、開発ツールである「Efinity IDE」は無償で提供している。

 エフィニックスVice President of Sales JAPI(Japan APAC and India)の中西郁雄氏は、エフィニックスのFPGAの可能性について「われわれは市場を全て取るつもりです。実際にその可能性があると考えています」と自信を見せる。

 エフィニックスの主なFPGA製品 エフィニックスの主なFPGA製品[クリックで拡大] 出所:エフィニックス

 エフィニックスのFPGAの特徴は同じ性能であれば圧倒的に電力消費量を小さく抑えられるという点だ。これを生かし、電力要求の厳しいエッジ製品への積極的な採用が進んでいる。中西氏は「エフィニックスのFPGAを使うことで、今までFPGAがあまり採用されてこなかった市場/製品に入れられる」と語る。

 例えばカメラを非常に小さく作りたいという要望があった際に、一般的なFPGAでは、高速で処理をさせると多くの熱を発してしまい、その処理などの機構が必要となり、小型化が難しくなる。消費電力が低いエフィニックスの製品であれば、こうした状況を避けられるために、産業用カメラやマシンビジョンカメラ、サーマルカメラなどいろんなカメラアプリケーションの小型化に貢献する。

 FPGAは一般的にはコストが高く民間機器への採用が難しいと考えられてきたが、エフィニックスのFPGAはコストを抑え、カメラ以外にもゲーミングスピーカーやポータブル医療機器、自動車など幅広い分野で使用されている。

 エフィニックスFPGAの導入例 エフィニックスFPGAの導入例[クリックで拡大] 出所:エフィニックス

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