設計プロセスにおけるCAE活用のステップとアセンブリの解析:実例で学ぶステップアップ設計者CAE(5)(4/4 ページ)
以上のように接触定義を設定することで、「見たい部分」の検証が可能になります。
次に、メッシュサイズを1mmに変更して、解析結果の変化と特異点の確認を行いました。解析結果の著しい変化はありませんでしたが、「SOLIDWORKS」の応力ホットスポット機能で確認したところ、隣接要素間の不規則な応力勾配が検出されました。
この不規則な高い応力勾配は、応力特異点に起因している可能性があります。応力ホットスポットが検出された後、応力特異点の検出プロセスでは、ローカルメッシュにより要素サイズを小さく設定しながら、特異点を検出していきます。これは、要素サイズを小さくすればするほど、応力値は大きくなる(発散する)という応力特異点の事象を利用したものです。
図10 応力特異点 [クリックで拡大]
今回の例では、ナットのエッジ部とL型部品の角部に応力特異点が見られましたが、本来評価したかった場所とは異なるため問題視していません。
図11 最終的な応力値プロット [クリックで拡大]
目的となる軸/軸穴部については、降伏強さに対し著しく小さな値ではあるものの、カムフォロアとL字部品の接地面に降伏強さ約2分の1の高い応力が見られることから、“カムフォロアの強度の確認をする必要がある”という見解を出しました。カムフォロア自体を管理する必要があるということです。
このように、アセンブリの解析では、接触定義を行うことで、解析結果の精度向上を図ることが可能になります。 (次回に続く)
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土橋美博(どばし・よしひろ)
1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置メーカーで設計・営業・3次元CAD推進を行う。現在、液晶パネル製造装置を主体に手掛ける株式会社飯沼ゲージ製作所で3次元CADを中心としたデジタルプロセスエンジニアリングの構築を推進する。ソリッドワークス・ジャパンユーザーグループ(SWJUG)の代表リーダー・事務局も務める。
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