「CAEの社内マニュアルは、本当に必要ですか?」――そう尋ねられたら、あなたはどう答える? ぶっちゃけ現場トーク、2回目。
前回に引き続き、CAE関連の議論をするTwittererたちの大手町談義(登場人物と経緯は前回参照)をお届けする。
「それ、あるある!」と共感しつつ、あなたの抱える問題の答え探しのヒントが見つかればと思う。
「答えを出すのは、あくまであなたです!」
編集部注 *現場の生の声、当日の会話の流れをできる限り忠実にお伝えしたいと考え、本来文章としては粗いと感じられる表現(通常の記事では修正する表現)も一部許容して編集しました。
――JIKO氏は、リアルの業務でもCAE技術の啓発に励んでいる。しかし、かなり苦戦していそう……。しかし、皆も同じようなことを悩んでいたりして。
うちは、ちゃんとできた試しがないです……。(上長や他部署のための)説明用で、(設計者が)、「よく分かんないけど、(CAEで解析を)やってくれ」みたいな感じで、設計者は何も条件を言わないんですよ。で、実験データとか見ながら条件をこちらで決めていき、それなりの解析モデルを作るわけですよ。でも、それってそもそもなんか違う気がするんですよね。
分かる。僕も(解析依頼を設計者から)受けるときには、根掘り葉掘り聞いてしまう。「なんで解析するの」みたいなところが、俺にはちょっと……(伝わらない)、しょうがないんだけどね。結局、今回のテーマは「設計の中のCAE」なんだけど、やっぱりそこが明らかにならないと。設計者が自分で(CAEが)できれば、「設計者のCAE」。それができないから、「専任者のCAE」。そんなところが、当然あるんだろうな。
いまの学生はシミュレーション世代でしょ。仮想空間しか知らない人たちが会社に入ってきて、シミュレーションをやる。「お前ら、現場に行って、“こうなったら、当然おかしいよね”っていうのを学んでこいよ!」っていうのがないまま、その人たちの経験が積み重なって、設計者になる。で、さっきのシミュレーションの境界条件の話だけども、ちゃんとした条件なんか付くわけないよね、……っていう……。
その答えがトンチンカンなときがあって……。答えというか、レポートというか。
「こんな結果あり得ないでしょ」って。
そこはやっぱりベテランが付いてしっかり指導するべきかなと。適切にCAEが使えるようになるには、物の関わりや経験がある程度必要ですが、その点はベテランがフォローし、若手にはまず道具を覚えてもらうことが必要と考えます。経験なんかは今後会社の中でいくらでも積めますから。
ツールのハードルは低くなっているし、若手は理解度が高い。そこに垣根はない。
垣根はないね。
例えば、「t0.8のブラケット」と、「t2のブラケット」。厚物と薄物は、変形量が違う。けど、それをどういう境界条件でやるの? じゃあ、その結果をどう設計に生かすの? それをどうやって作るの? その寸法だと、うちの社内だと「曲げられない」「絞れない」。――そういうところは、さっきの話のように、ベテランがちゃんとしないといけない。けど、そこがすごくおざなりになっている。
「若手ができない」ってよく言うんだけど、ベテランも若手にきちんと教えてない。
そーそーそー! だからね、教育ってすごく大事! OJTも大事だと思うんです。広めていく中で、「道具」「人」「組織」、3つのベースを作る。この3つ、すごく大事だと思うんです。その上に、プロセスが乗っかってくる。でも、プロセスとツールの話ばかりが先行しがち。例えば、システムサイドが、「プロセスのシステムをどう作るか」。ここはいい。ベンダーさんの努力で、情報がずいぶん広がってきたから。だけど「人をどう作るか」。もう1つは、「組織」。上の方々をそこにどう巻き込んでいくか。
上への啓発は、教育のミッションとセットになってる。逆に、若い人たちは、やる気になってる。
ボトムアップになっているんですよね。porcaroさんのとこはどうなの? ちょっと、静かだけど……。
――ちょっとシャイガイなporcaro氏、ようやく出番!
かなり、ボトムアップ……ですね。……以前のアイティメディアさん(MONOist編集部)のセミナーでもあったんですけど、「シミュレーションやっている人は、偉くなれない」って……。
(一同、笑い)
偉くなれないと思う。
あれはショッキングでした……。僕の会社でも、シミュレーションをやっている人たちは、皆、偉くなれない。ある程度まで行くと、そこまで。南山さんが言うように「人が大事」というのは僕もずっと思ってて、でも実際はあんまり大事にされていない。
――この以降、話題が変わっていくが、「CAE専任者は偉くなれない」件は、この会の後半で大いに盛り上がることになる。が、ここはひとまず、話題はporcaro氏のCAE教育のお悩みにフォーカスされていく。
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