――解析専任者は、設計者とは違うアウトプットを出す。では、解析専任者はどうあるべきなの? また、設計と協調するためには、どうしたらいい?
解析専任者の話だけで、さらに(座談会が)もう1日かかる……(笑)。いまの話、私も、Twitterでよく言うんですけど、解析専任者って、ある意味、「いつでも設計開発者になれる」って人じゃないと、なかなか勤まらないんじゃないかな。「CAEだけできる」っていうのだと、メーカーの中では、なかなか厳しいんじゃないかなって。
さっきの「偉くなれない」って部分も、多分、そこがあるんだよね。アウトプットと、見ている点が違うという部分が。
モノを作るために、解析シミュレーションやる。
基本的には、「よりよい製品を作るためには、CAEが有効だ」と思って広めようとしているから、基本的な方向性はあっていると思っていました。
そこがずれている解析専任者っていうのは、相当いるんじゃないかなぁ。
多分、そこの誤解があるんですよ。設計者の立場だと「解析ってさ、こんな七面倒くさくて、難しくて、なんか変な理屈コネちゃうんでしょー」って、専任する立場だと「制動をビッチリ再現してやるぜ、コノヤロー」って。大きな方向性では、どちらも「いい製品作りたい」んだけど、そのレベルの違いって、多分、微妙にあって、それが積み重なっていくというか。
多くの場合、解析専任者が思っているほど、設計者って解析結果を見ていなかったりするんですよね。
それもある。それは100パー(%)。
「どこまで見たいのか?」というのをまず、明確にやらないと。右に行きたいか左に行きたいか、っていうのを見たいだけなのに、100分の1台の精度の解析は要らない。
それでいいと思うんですよね。
皆であらためて、そういうことを共有していかないと、結局、何も変わらずに、このままズルズルいっていくのかなぁ。
――CAEトークは、まだまだ続く。次回はCAE推進を阻む「壁」についてのお話から。
(次回へ続く)
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