RTX Server Test Driveは、どの程度のパフォーマンスを発揮するのだろうか。本レビューでは、ベンチマークテストとしてAdobe Premiere Proを用いた「PugetBench for Premiere Pro」、RTX8000-48Qでサポートするリアルタイムレイトレーシング演算処理能力の測定として、UL Benchmarksのゲーミングベンチマークテスト「3DMark」から「Port Royal」を実施した。また、3D CG制作アプリケーションや3D CADアプリケーションで多用するOpenGLに対する処理能力を測定するため、「SPECviewperf 1.3」も実行している。比較対象としては、ディスクリートGPUを搭載しないデスクトップPCで実施した同じベンチマークテストのスコアを用意した。
なお、先ほども述べたように、RTX Server Test Driveの仮想環境はエルザ ジャパンが提供するハードウェア構成によって変わる。そのため、ここでは2020年6月時点におけるRTX Server Test Driveにおいてベンチマークテストのシステムインフォメーション機能で取得したシステム構成を参考情報として記しておく。
また、クライアントとして使用したデスクトップPCでもローカルにベンチマークテストを導入して比較対象とした。そのシステム構成は次の通りだ。
ベンチマークテスト | RTX Server Test Drive | 比較対象デスクトップPC |
---|---|---|
PugetBench for Premiere Pro Overall Score | 413 | 259 |
PugetBench for Premiere Pro GPU Score | 48.6 | 5 |
3DMark Port Royal | 6586 | 動作せず(RT非対応) |
SPECviewperf 13 3dmax-06 | 157.01 | 26.23 |
SPECviewperf 13 catia-05 | 85.78 | 46.47 |
SPECviewperf 13 creo-02 | 106.13 | 45.16 |
SPECviewperf 13 energy-02 | 67.62 | 53.18 |
SPECviewperf 13 maya-05 | 150.84 | 58.63 |
SPECviewperf 13 medical-02 | 85.07 | 52.03 |
SPECviewperf 13 showcase-02 | 133.48 | 30.91 |
SPECviewperf 13 snx-02 | 357.39 | 63.88 |
SPECviewperf 13 sw-04 | 73.05 | 35.35 |
ベンチマークテストのスコア比較 |
クライアントとして用いたデスクトップPCはCPUがミドルレンジクラス、GPUはCPUに統合したグラフィックスコアを用いている。ビジネス向けの汎用(はんよう)ノートPCもほぼ同様のスペックだ。一般的なビジネス向けPCの典型的な構成といえるだろう。そのクライアントでRTXサーバにアクセスすれば、GPUの強力な並列演算処理能力が利用できるようになり、SPECviewperf 13のスコア比較でも分かるように、汎用ビジネス向けPCではまともに動かないOpenGLアプリケーションが業務に耐え得る速度で使えるようになる。
なお、先ほども述べたように、RTX Server Test Driveのシステム構成はエルザ ジャパンによって更新されていく。CPUが更新した場合でも処理能力は向上する。参考までに、2020年8月時点でエルザ ジャパンが測定したSPECviewperf 13のスコアを以下に記載する。
SPECviewperf 13 | RTX8000 48Q |
---|---|
3ds Max-06 | 214.38 |
catia-05 | 217.32 |
creo-02 | 223.23 |
energy-02 | 66.04 |
maya-05 | 286.24 |
medical-02 | 123.05 |
showcase-02 | 134.85 |
snx-02 | 353.73 |
sw-04 | 135.06 |
エルザ ジャパンが測定したSPECviewperf 13のスコア(2020年8月時点) |
また、もう1点書き加えると、今回実施したベンチマークテストでは、RTX Server Test Drive側のフレームレートリミッターをオフにして測定している。デフォルトの環境ではフレームレートを30fpsに制限しているため、今回掲載したスコアより低い値となる。フレームレートの制限設定については、エルザ ジャパンと相談していただきたい。
RTXサーバを導入すれば、非力なビジネスPCやAndroidタブレット端末、iPadでも業務用の3D CGや3D CADが使える。しかし、「試しに入れてみる」にはコストは高く、試しに使って使えるかどうかを確かめないことには導入できない……。この問題を解決するのに、RTX Server Test Driveは有効な評価環境を提供してくれるはずだ。
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