RTXサーバの高い処理能力を汎用PCで体感! 事前検証プログラムを活用してみた設計環境レビュー(3/3 ページ)

» 2020年10月01日 13時00分 公開
[長浜和也MONOist]
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コストを抑えた環境でも“RTX”のパワーが使える!

 RTX Server Test Driveは、どの程度のパフォーマンスを発揮するのだろうか。本レビューでは、ベンチマークテストとしてAdobe Premiere Proを用いた「PugetBench for Premiere Pro」、RTX8000-48Qでサポートするリアルタイムレイトレーシング演算処理能力の測定として、UL Benchmarksのゲーミングベンチマークテスト「3DMark」から「Port Royal」を実施した。また、3D CG制作アプリケーションや3D CADアプリケーションで多用するOpenGLに対する処理能力を測定するため、「SPECviewperf 1.3」も実行している。比較対象としては、ディスクリートGPUを搭載しないデスクトップPCで実施した同じベンチマークテストのスコアを用意した。

 なお、先ほども述べたように、RTX Server Test Driveの仮想環境はエルザ ジャパンが提供するハードウェア構成によって変わる。そのため、ここでは2020年6月時点におけるRTX Server Test Driveにおいてベンチマークテストのシステムインフォメーション機能で取得したシステム構成を参考情報として記しておく。

  • vCPU:Xeon E5-2620(動作クロック:2GHz)
  • GPU:GRID RTX8000P-48Q(GDDR6/4.8GB)
  • システムメモリ:16GB×2
  • ストレージ:VMware Virtual disk SCSI Disk
CPU-Zで確認した仮想マシンのCPU CPU-Zで確認した仮想マシンのCPU [クリックで拡大]

 また、クライアントとして使用したデスクトップPCでもローカルにベンチマークテストを導入して比較対象とした。そのシステム構成は次の通りだ。

  • CPU:Core i5-9400(2.9GHz)
  • GPU:Intel UHD Graphics 630
  • システムメモリ:16GB×2
  • ストレージ:500GB SSD
ベンチマークテスト RTX Server Test Drive 比較対象デスクトップPC
PugetBench for Premiere Pro Overall Score 413 259
PugetBench for Premiere Pro GPU Score 48.6 5
3DMark Port Royal 6586 動作せず(RT非対応)
SPECviewperf 13 3dmax-06 157.01 26.23
SPECviewperf 13 catia-05 85.78 46.47
SPECviewperf 13 creo-02 106.13 45.16
SPECviewperf 13 energy-02 67.62 53.18
SPECviewperf 13 maya-05 150.84 58.63
SPECviewperf 13 medical-02 85.07 52.03
SPECviewperf 13 showcase-02 133.48 30.91
SPECviewperf 13 snx-02 357.39 63.88
SPECviewperf 13 sw-04 73.05 35.35
ベンチマークテストのスコア比較

 クライアントとして用いたデスクトップPCはCPUがミドルレンジクラス、GPUはCPUに統合したグラフィックスコアを用いている。ビジネス向けの汎用(はんよう)ノートPCもほぼ同様のスペックだ。一般的なビジネス向けPCの典型的な構成といえるだろう。そのクライアントでRTXサーバにアクセスすれば、GPUの強力な並列演算処理能力が利用できるようになり、SPECviewperf 13のスコア比較でも分かるように、汎用ビジネス向けPCではまともに動かないOpenGLアプリケーションが業務に耐え得る速度で使えるようになる。

 なお、先ほども述べたように、RTX Server Test Driveのシステム構成はエルザ ジャパンによって更新されていく。CPUが更新した場合でも処理能力は向上する。参考までに、2020年8月時点でエルザ ジャパンが測定したSPECviewperf 13のスコアを以下に記載する。

SPECviewperf 13 RTX8000 48Q
3ds Max-06 214.38
catia-05 217.32
creo-02 223.23
energy-02 66.04
maya-05 286.24
medical-02 123.05
showcase-02 134.85
snx-02 353.73
sw-04 135.06
エルザ ジャパンが測定したSPECviewperf 13のスコア(2020年8月時点)

 また、もう1点書き加えると、今回実施したベンチマークテストでは、RTX Server Test Drive側のフレームレートリミッターをオフにして測定している。デフォルトの環境ではフレームレートを30fpsに制限しているため、今回掲載したスコアより低い値となる。フレームレートの制限設定については、エルザ ジャパンと相談していただきたい。

 RTXサーバを導入すれば、非力なビジネスPCやAndroidタブレット端末、iPadでも業務用の3D CGや3D CADが使える。しかし、「試しに入れてみる」にはコストは高く、試しに使って使えるかどうかを確かめないことには導入できない……。この問題を解決するのに、RTX Server Test Driveは有効な評価環境を提供してくれるはずだ。

⇒ 「試してみた/使ってみたシリーズ」のバックナンバーはこちら

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