エッジコンピューティングの逆襲 特集

アマゾン買収から2年半、「Amazon FreeRTOS」は最も手頃なRTOSにリアルタイムOS列伝(2)(3/3 ページ)

» 2020年05月27日 10時00分 公開
[大原雄介MONOist]
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「FreeRTOS IoT Libraries」と「FreeRTOS Labs」

 これらに加えて「FreeRTOS IoT Libraries」も提供されている。

  • MQTT(MQTTプロトコルの実装)
  • HTTPS(LightweightなHTTPSプロトコルの実装)
  • OTA(ファームウェアのOTAアップデートをサポートするライブラリ群を提供)
  • PKCS #11(OASIS Standardに準拠した暗号化APIで、キーストレージとか暗号化オブジェクトのget/set、それとセッション制御のライブラリが提供される)
  • AWS IoT Jobs(AWS IoTにつながる複数のデバイスでジョブを実行するライブラリ)
  • AWS IoT Device Shadowing(デバイスの状態の保存/復帰を実行するためのライブラリ)

 まだこれらについては全てが長期サポート(LTS:Long Time Support)の対象にはなっていないが、今のところMQTTはLTS向けの作業中で2020年第3四半期にはサポート対象となる見込み。PKCS #11/FreeRTOS+TCP/OTA/HPPS/AWS IoT Device Shadowingの各コンポーネントはLTS対象にすることを計画中である。

 他にもまだ開発中の、いわばβ版にあたるものに「FreeRTOS Labs」があり、こちらでは以下のものを提供中だ。

  • MQTT Lightweight(軽量版MQTT)
  • POSIX(POSIX Threading wrapper)
  • FreeRTOS+FAT(FATファイルシステム:SDカードへの読み書きなどが可能になる)

 このあたりに関しては、2017年から随分開発が進んだ感じがある。やはりAWSの傘下になり、資金的にもエンジニアリングリソース的にも充実したことが、さまざまな開発を促進したのではないかという気がする。パートナーも随分増えており(図3)、開発のハードルもかなる下がったように思う。今、何かの理由でRTOSを使わなければいけなくなり、かつ選択に何も縛りが無いのであれば、一番お手頃なのはAmazon FreeRTOSといえるだろう。

図3 図3 パートナー企業一覧。開発環境に関してもKeilとIAR、percepio、SEGGERが名乗りを上げており、随分充実したと思う(クリックで拡大)
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