高度化する自動車技術、修理や整備は追い付けるかどうなる? 次世代車の整備(1)(3/3 ページ)

» 2020年03月09日 06時00分 公開
[友野仙太郎MONOist]
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 さらに、膨大に蓄積された車両データは、故障を減らして信頼性を高めるなど、クルマの開発にも応用することができます。トヨタ自動車は、DCM搭載車から収集した数千台分のペダル踏み間違い時のデータを活用し、周辺監視センサーが障害物を検知していない場合でも踏み間違いに対応できる「急アクセル時加速抑制機能」を開発しました。車速、アクセルペダルの操作速度、踏込み量、上り坂かどうか、直前のブレーキ操作の有無、右左折中かどうかなどを基準に踏み間違いを判断するアルゴリズムを採用します。

 コネクテッドサービスは、乗用車に先行して商用車で導入されています。商用車を使用してビジネスを展開する物流事業者にとって、車両故障などによる車両の稼働率低下は収益に大きな影響を及ぼします。実際にコネクテッドサービスを導入した結果、予防整備による故障率の低下や、適正なタイミングの整備入庫により、車両の稼働率が向上しました。ドライバー不足や収益性改善に頭を悩ます物流事業者のビジネスをサポートしています。

 一方でコネクテッドカーの普及にもさまざまな課題があります。中でも大きな課題が、通信料金の負担です。2018年6月にコネクテッドサービスを本格展開したトヨタでは現在、車両購入から3年間は通信費を無料としていますが、4年目以降は年間1万6千円かかります。さらに日産スカイラインの場合、高速道路でのハンズオフ自動運転機能「プロパイロット2.0」の実現に必要な3次元高精度地図の更新などに使用するため、月額2万2千円の費用が必要となります。決して安くないこれらの費用を、将来的に誰が負担するのか。コネクテッドカーの全面普及の大きな障害といえます。

 また、コネクテッドカーの整備環境の構築も課題となります。当面はメーカー系ディーラーが専用端末を用いて整備を行いますが、ディーラー以外の整備専業店では対応が難しいのが実情です。現在、国内には8000万台超の自動車保有台数があり、メーカー系ディーラーだけでは全てのクルマの整備を賄うことはできません。コネクテッドカーが本格的に普及し、クルマの低年式化が進んだ際に、ディーラー以外の整備工場でも対応できるような環境整備も求められることになります。

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