SUBARU(スバル)は2020年1月20日、東京都内で記者会見を開き、中長期的に取り組む環境技術や安全技術の方針を発表した。あらゆる環境下で誰もがコントロールしやすく、意のままに操れることを目指した車台(プラットフォーム)づくりにも同時並行で取り組む。
SUBARU(スバル)は2020年1月20日、東京都内で記者会見を開き、中長期的に取り組む環境技術や安全技術の方針を発表した。あらゆる環境下で誰もがコントロールしやすく、意のままに操れることを目指した車台(プラットフォーム)づくりにも同時並行で取り組む。
環境面では、2030年までにグローバルでの販売台数の40%以上を電気自動車(EV)を含む電動車にする。さらに、2030年代前半には、全てのスバル車に電動化技術を採用する。これは、米国の環境規制を踏まえつつ、2050年までに「Well to Wheel」での新車平均CO2排出量を2010年比で90%以上削減するためのマイルストーンとなる目標だ。
こうした目標の下、2020年代前半にはまずトヨタ自動車と共同開発するEVを投入。続いて、トヨタハイブリッドシステム(THS)を応用した高電圧ハイブリッド車(HV)を2020年代前半に発売する。電動化の進展においても内燃機関が“スバルらしさ”を支えるという考えの下、2030年に熱効率45%を達成するためのエンジン技術の開発も進める。
安全面では、2030年の死亡交通事故ゼロに向けて、ADAS(先進運転支援システム)の高度化に加えて、事故発生時の自動通報システムの採用、サイクリスト保護エアバッグや衝突時の乗員の姿勢制御など衝突安全の継続的な強化を進める。ドライバーモニタリングシステムの活用範囲も広げる。また、ADASを高度化する技術の一部は、2020年後半に発表する「レヴォーグ」の新モデルで搭載する予定だ。
環境技術の今後の開発では、AWD(全輪駆動)と環境性能の両立を目指す。例えば北米では、スバルの販売は降雪地域で特に多く、日常的に非舗装路を走行する場面があるというユーザーが7〜8割を占める。雪道や非舗装路での安定走行がユーザーから期待されているとし、今後投入するEVや高電圧HVでも重視していく。
スバルのHVは「THSをそのまま載せるだけではない」(スバル 取締役専務執行役員 CTOの大拔哲雄氏)。FF(前輪駆動)向けで横置きのTHSを縦置き化するとともに、スバル独自のシンメトリカルAWDシステムと組み合わせる。また、カップリング機構を介して直結していてタイヤの挙動を機械的に把握しやすいAWDの強みを生かし、凍結路面でも安全に回生ブレーキを動作させ、FFのHVよりも30%高い回生エネルギー効率を実現する。
安全面ではまず、2020年代前半に運転支援システム「アイサイト」の新世代版を投入する。新世代アイサイトでは、ステレオカメラを刷新して視野角拡大や画像処理性能を高めるとともに、ミリ波レーダーとステレオカメラを連携させて運転支援機能を充実させる。
ステレオカメラの改良によって実現する機能としては、右左折時の横断歩道の歩行者や、右折時に直進してくる対向車の検知がある。スバルはこれまでステレオカメラのみでアイサイトの機能を実現してきたが、ミリ波レーダーによる周辺監視が加わることにより、出会い頭での衝突回避や、高速道路での車線変更支援、渋滞時のハンズオフ機能を追加する。高速道路のデジタル地図を使用してカーブの前に自動減速する機能も製品化する。
新世代アイサイトではミリ波レーダーを新たに取り入れるが、「ステレオカメラはミリ波レーダーやLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)の“いいとこどり”ができる」(スバルのADAS担当者)という考えで、前方監視用センサーとしてのステレオカメラへのこだわりは変わらない。2020年代後半には、走行可能なフリースペースを検知するためのセグメンテーション技術や、自動ブレーキで衝突が避けられないときにステアリング操作で障害物を回避できるルートを推定する技術をステレオカメラで開発する。
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