東南アジア市場低迷の影響続く、2019年11月の自動車生産実績自動車メーカー生産動向

日系乗用車メーカー各社の2019年11月の生産実績は、SUBARU(スバル)を除く7社が国内、海外ともに前年割れとなった。

» 2020年01月14日 06時00分 公開
[MONOist]

 日系乗用車メーカー各社の2019年11月の生産実績は、SUBARU(スバル)を除く7社が国内、海外ともに前年割れとなった。消費増税により新車販売が落ち込む国内に加えて、日系メーカーが得意とする東南アジアなどの市場低迷が生産台数に影響を及ぼした。市場規模の大きい北米や中国の販売は堅調に推移したものの、インドやタイ、インドネシアなどのアジアの販売低迷をカバーしきれなかった状況だった。

2019年11月の日系乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 合計
トヨタ 275,440 498,111 773,551
▲ 4.4 ▲ 2.4 ▲ 3.1
日産 65,092 362,856 427,948
▲ 17.8 ▲ 13.4 ▲ 14.1
ホンダ 52,928 358,016 410,944
▲ 38.7 ▲ 11.9 ▲ 16.6
スズキ 88,906 176,329 265,235
▲ 0.3 ▲ 2.4 ▲ 1.7
ダイハツ 86,180 62,026 148,206
▲ 0.3 ▲ 13.5 ▲ 6.3
マツダ 81,316 52,091 133,407
▲ 14.6 ▲ 6.5 ▲ 11.6
三菱 53,880 59,454 113,334
▲ 15.0 ▲ 20.8 ▲ 18.2
スバル 63,711 34,147 97,858
13.5 4.0 10.0
合計 767,453 1,603,030 2,370,483
※上段は台数、下段は前年比。単位:台、%

 トヨタ自動車は、グローバル生産台数が77万3551台と前年同月比3.1%減少し、2カ月連続のマイナスとなった。内訳は、国内が同4.4%減の27万5440台と2カ月連続の前年割れだった。トヨタでは、1月に生産を開始した北米向け「カローラセダン」による増加要因はあるものの、稼働日が前年同月に比べて1日少ないことを減少の要因に挙げる。

 海外生産は、同2.4%減の49万8111台で、6カ月連続の前年割れ。北米は、米国が同1.9%減と微減となったものの、カナダでの「RAV4」の生産が軌道に乗ったことにより同4.4%増の15万8226台とプラスを確保した。中国は「アバロン」や「カローラ/レビン」といったTNGAモデルの新型車の販売が好調で、同5.1%増の14万2978台と増加した。一方、アジア全体で見ると、景気低迷で市場が減速しているタイや、大統領選挙などの影響で市場が冷え込むインドネシアなど、販売台数の多い国で2桁減が続いている。インドも前年比で約半減と厳しく、アジアトータルでは同2.6%減の23万3717台にとどまった。欧州は同3.6%減の7万738台。2019年2月に発売したカローラは好調を維持するものの、新型を発表済みの現行「ヤリス」の販売減が響いた。

 傘下のダイハツ工業もマイナスが続いている。グローバル生産は同6.3%減の14万8206台と2カ月連続で前年を下回った。国内は小型SUV「ロッキー/ライズ」の効果で登録車が同45.5%増の3万2331台と、全ての月を通じて過去最高を更新した。一方、軽自動車は同16.1%減と不調で、その結果、国内トータルでは同0.3%減の8万6180台と微減となり、2カ月連続のマイナスだった。海外も市場低迷が続くインドネシアに加えてマレーシアも減少し、同13.5%減の6万2026台と2カ月連続の減少となった。ただ、1〜11月の累計では国内、海外ともに過去最高を更新しており、年間生産台数としては高い水準を維持している。

 日産自動車のグローバル生産は、同14.1%減の42万7948台と、2カ月連続の前年割れ。海外は同13.4%減の36万2856台と、10月に続き2桁減で、減少幅も拡大した。成長をけん引してきた中国が「エクストレイル」の減少で同4.4%減とマイナスだったことに加えて、米国が同24.0%減、メキシコが同17.6%減、スペインが同51.0%減など、中国以外の減少幅が目立った。国内も「ノート」の販売減少により、同17.8%減の6万5092台と大きく台数を落とした。

 ホンダは、グローバル生産が同16.6%減の41万944台と4カ月連続のマイナスだった。国内は、電動パーキングブレーキの不具合で生産停止している「N-WGN」や「フィット」の発売延期などにより、同38.7%減の5万2928台と3カ月連続で大幅な減少となった。海外も同11.9%減の35万8016台と2カ月連続のマイナスとなった。インドやタイが低迷しているアジアが同5.7%減と6カ月連続で減少したほか、北米も同18.4%減と2カ月連続のマイナスだった。ただ、米国ではセダンが低迷する一方で「CR-V」などSUVの販売が好調で、米国の11月販売としては過去最高を更新した。唯一好調なのが中国で、同4.1%増と4カ月連続で増加し、11月として過去最高の生産台数となった。

 スズキは、グローバル生産が同1.7%減の26万5235台と10カ月連続で減少した。主力のインド市場が2018年10月頃から低迷しているものの、減少幅は2桁減が続いていた前月までと比べて落ち着きつつある。国内は、完成検査問題によりラインスピードを落としていることに加えて、軽自動車販売の減少などもあり、同0.3%減の8万8906台と7カ月連続のマイナスとなった。海外は同2.4%減の17万6329台と10カ月連続の減少。主力市場のインドは10カ月ぶりに増加に転じたことでマイナス幅は縮小したものの、パキスタンなどの減少により海外トータルでは前年実績を下回った。

 マツダのグローバル生産は、同11.6%減の13万3407台と、3カ月連続のマイナスとなった。国内は「マツダ3」が同19.0%増と好調に推移したものの、「CX-5」や「CX-3」の販売減少などにより、同14.6%減の8万1316台と2カ月連続のマイナスとなった。これは前年が西日本豪雨の挽回生産で水準が高いことも影響している。海外は同6.5%減の5万2091台と17カ月連続のマイナス。アジアの市場低迷によりタイが大幅に減少した。一方で中国は「CX-4」の同32.0%増などにより、3カ月ぶりのプラスとなった。

 三菱自動車のグローバル生産は、同18.2%減の11万3334台。3カ月連続で前年を下回った。このうち国内は、同15.0%減の5万3880台で4カ月連続のマイナス。「デリカD:5」などの新型車効果があったものの、「エクリプス クロス」や「アウトランダーPHEV」、「eKスペース」の落ち込みが目立った。海外も同20.8%減の5万9454台と2カ月連続で減少した。同社の主要市場であるタイの落ち込みに加えて、好調だった中国も減少に転じた。

 日系乗用車メーカーで唯一好調だったのがSUBARU(スバル)だ。グローバル生産は同10.0%増の9万7858台と、4カ月ぶりにプラスに転じるとともに11月として過去最高を更新した。国内は同13.5%増の6万3711台で4カ月ぶりに増加。国内販売は減少したものの、米国向け「フォレスター」「XV」などを中心に増加したほか、前年同月が完成検査問題でラインスピードを落としていたことの反動も重なった。海外は同4.0%増の3万4147台と4カ月ぶりの増加で、11月として過去最高となった。3列シートSUV「アセント」が増加したほか、7月末の生産開始から品質確保に注力してきた新型「レガシィ/アウトバック」の生産も本格化し始めたことが過去最高につながった。

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