Robert Bosch(ボッシュ)は2019年10月8日、SiCパワー半導体向け300mmウエハーを生産するドイツ・ドレスデン工場が2021年末から稼働すると発表した。
Robert Bosch(ボッシュ)は2019年10月8日、300mmウエハーを用いた半導体工場であるドイツ・ドレスデン工場が2021年末に稼働すると発表した。同社はドレスデン工場での半導体生産に10億ユーロ(約1174億円)を投じており、単一の投資としては過去最高額になるという。電子化が拡大する車載システム向けに、ASICやMEMS、パワー半導体などを生産する計画だ。
ドレスデン工場は2018年に完成した新しい生産拠点だ。2019年中に設備の納入を完了し、2020年春から従業員が働き始めるという。敷地面積は10万m2、生産エリアとオフィスの延床面積は約7万2000m2となる。従業員数は700人。1秒ごとの生産データを収集できるコネクテッドマニュファクチャリングを採用した他、カーボンニュートラルな拠点として運用する。
ボッシュは長年、同じくドイツ国内にあるロイトリンゲン工場を半導体の生産拠点としてきた。150mmと200mmのウエハーを用いて半導体を生産するロイトリンゲン工場は、次世代パワー半導体として注目を集めるSiCデバイスの生産拠点として引き続き強化していく方針。300mmウエハーを用いたコスト競争力のある半導体生産をドレスデン工場で、SiCパワー半導体をはじめとする先端デバイスの生産をロイトリンゲン工場で行うことで、相互に役割を補完していく構えだ。
なお、ロイトリンゲン工場で生産したSiCデバイスは、自社のパワーエレクトロニクス製品に採用する方針だ。
ボッシュはSiCパワー半導体を採用することで、電気自動車(EV)の走行距離を従来より6%増やすことができると見ている。日産自動車「リーフ」を例にすると、バッテリー容量62kWhのモデルの走行距離がWLTCモードで458kmなので、走行距離が485kmに伸びる計算だ。SiCパワー半導体の採用によって熱損失を抑え、動作可能な温度範囲を引き上げることで、冷却機構のコストを削減できる他、バッテリーの容量を縮小することが可能になるという。これにより、EVのコストの大部分を占めるバッテリーのコスト低減が図れ、車両価格を抑えることにつながるとしている。
ボッシュによれば、消費者の42%が走行中のバッテリー切れの不安からEVの購入を見送っている。ドイツでは特にその傾向が顕著で、消費者の69%がバッテリーの容量に不安を感じているという。
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