ヴァレオジャパンは、「人とくるまのテクノロジー展2019 横浜」(2019年5月22〜24日、パシフィコ横浜)において、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)向けの48Vシステムを提案した。低コストな電動車の実用化に貢献する。
ヴァレオジャパンは、「人とくるまのテクノロジー展2019 横浜」(2019年5月22〜24日、パシフィコ横浜)において、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)向けの48Vシステムを提案した。低コストな電動車の実用化に貢献する。
電源電圧が48Vの電動システムは、これまでプレミアムブランドでの採用が中心だった。また、駆動力をモーターではなくエンジンで生み出すマイルドハイブリッドシステムが主流だ。しかし、48Vシステムの本来の強みは従来の高電圧のシステムと比べて安全対策などのコストを抑えられる点だ。ヴァレオはそのメリットをハイブリッド車(HEV)だけでなく、EVやPHEVにも広げる。
展示した48Vシステム用車載充電器は、DC-DCコンバーターを一体化した構造で、GaN(窒化ガリウム)パワーデバイスを採用することで効率向上と小型化を実現。出力密度は1.3kW/l(リットル)を達成する。シンプルなブロック構造とし、車載用としての要件を満たす。
GaNはSiC(炭化ケイ素)パワーデバイスと比べて量産が容易で、歩留まりもよい。この車載充電器が量産されれば、次世代パワーデバイスの普及を後押ししそうだ。
ヴァレオは既に電源電圧が48VのEVとPHEVを試作し、2018年10月のパリモーターショーで公道走行を実施している。開発した48VのEVは2人乗りで、都市部での短距離の移動を想定している。試作車両の最高速度は時速100kmで、走行距離は150kmだ。従来の高電圧のEVと比較して、コストを20%削減できるとしている。
48VのPHEVは5人乗りで、モーターのみで走行するEV走行が可能な距離は40kmとなる。EVと同様に、従来比20%のコスト削減が可能だという。試作した48VのPHEVは、エンジン車の都市部進入規制の強化も見据え、制限区域内に入ったことをGPSで検知するとEVモードに自動的に切り替えられるようにした。
また、ヴァレオは人とくるまのテクノロジー展2019 横浜において、P2(※1)オフラインハイブリッドモジュール、電動リアアクスル、ベルト駆動式電動アクスルなど48Vシステム向けの部品を日本初公開した。
(※1)ハイブリッドシステムのモータージェネレーターの搭載位置はP0〜P4の5種類に分類される。P2はエンジンとトランスミッションの間に2つのクラッチとモータージェネレータを置くタイプ。モーターによる発進やクリープ走行ができる他、エンジンと駆動輪を切り離した状態での走行(コースティング)も可能。
P2オフラインハイブリッドモジュールはエアコン用コンプレッサーとベルトレスモータージェネレーターが統合されている。電動コンプレッサーを使用せずに車両停止中にエアコンを稼働できる。電動リアアクスルは車両重量1.2tまでの小型車向けで、最大出力19kW、定格出力12kWを確保した。システム重量は25kgと軽量だという。
ベルト駆動式電動アクスルは、ベルト駆動式スタータージェネレーターをベースにインバーターと減速機を組み合わせた。車両重量700kgまでが対象で、電動スクーターや電動三輪車、超小型モビリティなど向けとなる。
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