トヨタから1年遅れ、それでもホンダは燃料電池車を普通のセダンにしたかった燃料電池車(1/3 ページ)

ホンダは2016年3月10日、セダンタイプの新型燃料電池車「CLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエルセル)」を発売した。水素タンクの充填時間は3分程度、満充填からの走行距離は750Kmとし、パッケージングも含めてガソリンエンジン車とそん色ない使い勝手を目指した。

» 2016年03月11日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 ホンダは2016年3月10日、セダンタイプの新型燃料電池車「CLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエルセル)」を発売した。水素タンクの充填時間は3分程度、満充填からの走行距離は750kmとし、パッケージングも含めてガソリンエンジン車とそん色ない使い勝手を目指した。初年度は自治体や企業を対象にリース販売とし、200台を計画する。2016年中には欧州や米国での販売を開始する他、2017年夏ごろまでに個人向けの販売もスタートする。税込みのメーカー小売希望個価格は766万円。

2016年3月10日から販売を開始した燃料電池車「CLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエルセル)」とホンダ 社長の八郷隆弘氏。写真左は可搬型外部給電器「Power Exporter 9000」 2016年3月10日から販売を開始した燃料電池車「CLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエルセル)」とホンダ 社長の八郷隆弘氏。写真左は可搬型外部給電器「Power Exporter 9000」 (クリックして拡大)

燃料電池車だからといって特別扱いしてもらえない

本田技術研究所 清水潔氏 本田技術研究所 清水潔氏

 クラリティ フューエルセルの開発責任者を務めた本田技術研究所の清水潔氏や、国内営業を担当するホンダ 専務執行役員 日本本部長の峯川尚氏は、クラリティ フューエルセルが“普通のクルマ”であることを強調する。開発にあたって、普通のセダンとして使える燃料電池車を目指したのは、清水氏の米国駐在経験がきっかけとなった。

 「2007年から4年半、米国に駐在してクラリティ フューエルセルの前身となる『FCXクラリティ』の発売、納車、お客さまへの聞き取り調査に携わった。その中で“セダンなのに5人乗れないのか”“装備が足りない”などの指摘をいただき、燃料電池車であっても要求されることは普通のクルマと変わらないことを実感した。そこで、ガソリンエンジン車と変わらない価値を提供できるクルマを目指した」(清水氏)。

燃料電池パワートレインをV型6気筒エンジンと同等のサイズに。駆動用モーターとパワーコントロールユニットの上に燃料電池スタック、昇圧コンバータが載っている 燃料電池パワートレインをV型6気筒エンジンと同等のサイズに。駆動用モーターとパワーコントロールユニットの上に燃料電池スタック、昇圧コンバータが載っている (クリックして拡大)

 セダンとして居住空間と荷室を犠牲にしないため、ボンネットに収まるサイズに燃料電池パワートレインを小型化した。V型6気筒エンジンと同等となる前後/左右/高さのスペースに、燃料電池スタックと昇圧コンバータ、モーター駆動ユニット、コンプレッサー、水素と空気の供給システムを搭載している。

 パワートレインの小型化に大幅に貢献したのは、燃料電池スタックと昇圧コンバータだ。燃料電池スタックはFCXクラリティ比で33%、昇圧コンバータは同40%の小型化を実現した。

燃料電池パワートレインをV型6気筒エンジンなみのサイズに収めた 燃料電池パワートレインをV型6気筒エンジンなみのサイズに収めた (クリックして拡大) 出典:ホンダ
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