トポロジカルな電磁波伝送を可能にする蜂の巣構造の回路を開発組み込み開発ニュース

NIMSは、直角や鋭角の経路でも電磁波が散乱せずに伝送できる「蜂の巣状トポロジカルLC回路」を作製した。コンパクトな電磁回路の設計が可能となり、デバイスの小型化・高集積化が期待できる。

» 2018年12月06日 08時00分 公開
[MONOist]

 物質・材料研究機構(NIMS)は2018年11月19日、直角や鋭角の経路でも電磁波が散乱せずに伝送できる「蜂の巣状トポロジカルLC回路」を作製したと発表した。コンパクトな電磁回路設計が可能となり、デバイスの小型化・高集積化が期待できる。

photo 作製した「蜂の巣状トポロジカルLC回路」(左)と有効LC回路(右) 出典:物質・材料研究機構

 近年、散乱に強い光/電磁導波路を開発するため、物の形状変化の影響を受けないトポロジカルな性質を電磁波に持たせる研究が進められている。しかし、ジャイロ物質に磁場を印加する必要があったり、構造が複雑になるなど、実用化が難しかった。

 今回の研究では、マイクロストリップという平たんな伝送線路において、線状金属箔が蜂の巣構造を持つように設計した。6角形の金属箔の線幅と6角形同士をつなぐ金属箔の線幅を変えることで、伝送される電磁波がトポロジカルな性質を持つことを理論的に示した。

 作製したマイクロストリップで表面の電場を測定したところ、トポロジカル電磁波が、マイクロストリップ内部で決まった方向の電磁エネルギー渦巻きを作りながら伝搬する様子を観測した。

 単純な物資と構造から成るトポロジカル電磁伝送技術を開発したことで、既存のエレクトロニクスやフォトニクス技術との融合が期待される。また、トポロジカル電磁モードが持つ渦巻きの方向と巻き数は、高密度な情報伝達に利用できるとしている。

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