ソフトバンクと物質・材料研究機構(NIMS)は、リチウムイオン電池の5倍のエネルギー密度が期待されるリチウム空気電池の実用化を目指す「NIMS-SoftBank先端技術開発センター」の設置に関する覚書を締結。同センターの活動により、NIMS単独の研究で2030年ごろとしていたリチウム空気電池の実用化時期を、2025年ごろに早めたい考えだ。
ソフトバンクと物質・材料研究機構(NIMS)は2018年4月11日、東京都内で会見を開き、リチウムイオン電池の5倍のエネルギー密度が期待されるリチウム空気電池の実用化を目指す「NIMS-SoftBank先端技術開発センター」の設置に関する覚書を締結したと発表した。同センターではまず、リチウム空気電池の実用化に向けた基礎固めを進める。当初2年間の研究資金は約10億円。同センターの活動により、NIMS単独の研究で2030年ごろとしていたリチウム空気電池の実用化時期を2025年ごろに早めたい考えだ。
NIMS 理事長の橋本和仁氏は「NIMSは極めて基盤的な研究をやっている組織だが、そのリチウム空気電池の研究成果にソフトバンクが興味を持ってくれた。これまで互いに遠い関係だったが、今回のセンター設置は両者にとって新しい試みになる。政府が推進する企業からの大学、国立研究所への投資拡大という観点でも大きな成果になるだろう」と語る。
ソフトバンク 代表取締役 副社長執行役員 兼 CTOの宮川潤一氏は「当社が重視しているIoT(モノのインターネット)を進化させる上で最大の課題となっているのが、より軽くて長持ちする電池の実現だ。現行のリチウムイオン電池の5倍のエネルギー密度が可能なリチウム空気電池の研究開発で、NIMSは世界でも最先端にいる。今回のセンター設置で、実用化時期を加速させたい」と期待を込める。
NIMS-SoftBank先端技術開発センターでは、NIMSの数十人の研究者に加えて、ソフトバンクも人員を派遣し、総勢約50人の体制で研究開発を行う。センター長は、NIMSのフェローで、ナノ材料科学環境拠点Greenの拠点長を務める魚崎浩平氏が就任する。ソフトバンクがニーズから逆算して決めた要求性能を基に、電池実用化開発研究グループと電池試作・評価・解析グループの2グループが連携して、リチウム空気電池の実用化に取り組む。「材料合成からセル設計、施策までを一気通貫で実施できる体制だ」(橋本氏)という。
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