オリンパスは、呉医療センター・中国がんセンターと共同で、「胃生検材料を用いたAI病理診断支援ソフトウェア」の研究を実施した。陽性症例の見落とし防止などが見込まれ、病理医の負担低減が期待できる。
オリンパスは2018年9月3日、呉医療センター・中国がんセンターと共同で、「胃生検材料を用いたAI病理診断支援ソフトウェア」の研究を実施したと発表した。
今回の研究では、同社が独自に開発した深層学習技術を用いて画像の腺がん組織領域を識別し、その結果に基づいて腺がん画像と非腺がん画像を分類した。これにより、感度100%、特異度50%の精度のAI(人工知能)病理診断支援ソフトウェアの実現を目指し、それに近い精度を持つ結果が得られた。
同研究は、病理ホールスライド画像とその教師データとなる情報を用いてCNNのモデルを学習させる「学習ステップ」と、学習させたモデルを用いて腺がん画像と非腺がん画像の分類を行う「推定ステップ」の2段階で構成される。
まず、学習ステップで、中国がんセンターが所有する、368件の病理ホールスライド画像とその教師データとなる情報を用いてCNNのモデルを学習させた。
次に推定ステップの「テスト1」で786件の症例を検討し、腺がんは全て陽性と判定するようにソフトウェアの基準値を設定した。この基準値設定では、非腺がん489件中225件が陰性と判定された。さらに「テスト2」では、テスト1で設定した基準値において、新たに140件(腺がん67件、非腺がん73件)の症例を検討。その結果、腺がん67件は全て陽性と判定され、非腺がん73件中37件が陰性と判定された。
AI病理診断支援ソフトウェアにより、陽性症例の見落とし防止や、陰性症例のスクリーニング効果が見込まれ、病理医の負担低減と、診断精度の向上が期待できる。オリンパスは今後、今回開発した深層学習技術を基にして、AI病理診断支援ソリューションの提供に向けた開発に取り組むとしている。
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