成長戦略では地域戦略も重視している。日本国内は、ベースロード市場として事業体制を強化する。2018年7月には、東京・秋葉原に「東日本FAソリューションセンター(仮)」を新設する。同社のFA機器製品の展示場としては、東日本で初となる。この他、2017年4月に新設した約150人から成るソリューション専任部門の展開を加速するとともに、2018年度に50周年を迎える機器特約店会、2019年度に50周年を迎える菱盤会、ユーザー会員が加盟するFATECクラブなどを中心に関係強化を図る。
中国は海外最重点市場として、販売、開発、製造、サービスのリソース強化を進める。中国製造2025を契機にIoT市場での地位を確立し、先述した智能製造モデルラインなど政府系案件でのe-F@ctoryの採用を広げる。現地体制の強化では、営業、製造、設計、サービスの人員を、2017年度の約2200人から2018年度は約2600人に増やす。販売会社のe-F@ctory部門の人員倍増、販売拠点を4拠点に拡大し、2018年度からロボットの現地生産(常熟地区)も行う。
宮田氏は「地味な活動が多く、大手企業との提携のような華々しい話はあまりない。しかし、FA製品を売っていく上では、FA製品を用いて装置を開発する装置メーカーだけでなく、その装置のユーザーなど多面的な営業が重要になる。中国市場でもこの営業力で勝負が決まるだろう。華々しい話よりも、20年、30年とFA製品を使い続けたいと考えているユーザーをきちんとサポートする体制を含めて“安心”を売っていく営業力こそが重要だ」と語る。
韓国と台湾では2018年3月にe-F@ctoryアライアンス会を発足させた。それぞれ70社を目標にパートナー拡大を進めている。またアセアンについては「まだまだ売り上げは小さいが、成長性が高いので事業体制を強化したい」(宮田氏)としている。インドについても、経済成長と製造業高度化を見据えた事業体制強化を進める。インドの新生産拠点も、この強化策の一環となる。欧州と米国は、それぞれ展開しているFA開発センターを活用した情報収集や技術動向調査を行う。
この他M&Aについては、過去5年間で技術力強化11件、販売網拡大8件を実施したことを強調。宮田氏は「製品群、技術領域などの補完、販売網、サービス網確保、新規顧客層獲得という3つの方針を基に進めてきた。今後もこれらの方針に基づいて積極的にM&Aを行いたい」と述べている。
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