アドバンテック、オムロン、NEC、日本IBM、日本オラクル、三菱電機の6社は、エッジコンピューティングのための基本ソフトウェア「Edgecross」を推進する「Edgecrossコンソーシアム」を設立する。同コンソーシアムの母体は、三菱電機が2017年3月に発表した「FA-ITオープンプラットフォーム」構想になる。
アドバンテック、オムロン、NEC、日本IBM、日本オラクル、三菱電機の6社は2017年11月6日、東京都内で会見を開き、エッジコンピューティングのための基本ソフトウェア「Edgecross(エッジクロス)」の開発や仕様策定、普及を推進する「Edgecrossコンソーシアム」を設立することで合意したと発表した。「システムコントロールフェア(SCF)2017」(同年11月29日〜12月1日、東京ビッグサイト)の開催に合わせて設立する予定で、同展示会にも出展する。現時点では、コンソーシアムの幹事会社を務める会見に参加した6社を含める51社が賛同企業として名前を連ねている。
Edgecrossは、内閣府が提唱する「Society5.0」や経済産業省が推進する「Connected Industries」の実現に貢献するエッジコンピューティングの基本ソフトウェアになる。コンソーシアムの顧問を務める東京大学 名誉教授の木村文彦氏は「モノづくりの革命がICTを中心に進む中、サプライチェーンとエンジニアリングチェーンの融合も始まっている。そこで、価値の高いバリューチェーンを創出するにはIoT(モノのインターネット)の活用が不可欠だ」と語る。
EdgecrossコンソーシアムがIoT活用のキーワードとするのがエッジコンピューティングだ。IoTの枠組みが、生産現場であるFAと、ITシステムのあるクラウドだけだとすると、生産現場でのリアルタイム応答が難しく、通信量も膨大なものになってしまう。そこで、データの一次処理を行うエッジコンピューティングが間に入ることで、これらの課題解決につながるとしている。「しかし、エッジコンピューティングのプラットフォームは単独の企業では実現できない。そこで、Edgecrossコンソーシアムでは、企業、産業の枠を超え、エッジコンピューティング領域を軸とした新たな付加価値創出を目指す」(木村氏)という。
Edgecrossは当面、FAとITシステムの協調を実現するための基本ソフトウェアとして提供される。このため、生産現場で利用されている産業用PCに組み込んで使用するのが一般的な利用方法になる。Edgecrossを組み込めば、産業用PCとつながるフィールドネットワークなどからさまざまなデータの収集が可能になる。生産現場におけるリアルタイム診断とフィードバック、生産現場のモデル化、OPCやMQTTなどに対応することでFAとITシステムのシームレスな連携もできる。そして、Edgecrossのマーケットプレースからさまざまな用途のエッジアプリケーションの提供も予定されている。これらのアプリケーションは、ITシステムとの連携するものもあれば、エッジコンピューティングの領域だけで完結するものもある。
なお、Edgecrossの仕様についてはコンソーシアムの会員企業にのみ公開される。エッジアプリケーションの開発は、コンソーシアムが提供する開発キットを使えば容易に開発できる。開発したアプリケーションが実際にEdgecrossで利用できるかの検証などを行うコンフォーマンスは、コンソーシアムが担当するとしている。
EdgecrossコンソーシアムはSCF2017の後、2018年1月開催予定の「スマート工場EXPO」にも出展。2018年春にはEdgecrossを発売し、エッジアプリケーションのマーケットプレースの運用も始める計画だ。
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