Edgecrossコンソーシアムの母体となったのは、三菱電機が2017年3月に発表した「FA-ITオープンプラットフォーム」構想だ(関連記事:ついに三菱電機がオープン化へ、スマート工場実現に導くエッジ基盤提供)。
Edgecrossのアーキテクチャを見ると、FA-ITオープンプラットフォームで示されていた生産現場の情報を全て収集する「データコレクタ」や、ITシステムと連携する「API・SDK」、「データモデル管理機能」など対応するものが多い。
三菱電機 常務執行役 FAシステム事業本部長の宮田芳和氏は「Edgecrossは、FA-ITオープンプラットフォームの構想を発展的に広げたものだ。エッジコンピューティング領域は当社単独ではやれないので、コンソーシアムで協調して推進する体制になった」と説明する。
ただし、基本ソフトウェアであるEdgecrossは、三菱電機の製品などをベースに開発するのではなく「参加企業のいいとこどりになる」(Edgecrossコンソーシアム 設立準備委員会の南澤一成氏)という。実際に、幹事企業6社はそれぞれIoTプラットフォームやクラウドとして、アドバンテックが「WISE-PaaS」、オムロンが「i-BELT」、NECが「NEC Industrial IoT」、日本IBMが「Watson IoT」、日本オラクルが「Oracle Cloud」、三菱電機が「e-f@ctory」などを展開している。Edgecrossは、これら各社の製品を大幅に変更することなく接続や連携を可能にするような基本ソフトウェアとして開発が進められているようだ。
Edgecrossコンソーシアムの他にも、エッジコンピューティングを対象とする標準化の動きが既に幾つか進行している。まず、ファナックやシスコシステムズ、ロックウェルオートメーションなどが主導するIoTプラットフォーム「FIELD system」は2017年10月から国内サービスを始めたばかりだ(関連記事:現場志向のIoT基盤「FIELD system」が運用開始、稼働監視などを年間100万円で)。
FIELD systemとの関係については「Edgecrossは、誰でも開発できるとともに、ハードウェアに依存しないオープン性、将来的にFAにとどまらない適用領域の広さ、エッジコンピューティングのみで動作可能なことなどが特徴だ。FIELD systemとも連携していきたい」(南澤氏)と述べるにとどめた。
また、エッジコンピューティングの概念も包含するフォグコンピューティングを推進しているオープンフォグコンソーシアム(関連記事:“地に足の着いた雲”を実現する、「オープンフォグ」日本組織が始動)との関係についても「協調可能と考えている」(南澤氏)とした。
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