三菱電機は製造業のスマート化に向けた新たなエッジ領域の「FA-ITオープンプラットフォーム」を提案する。生産現場とITシステムを簡単につなぐ基盤を提供することで、従来構築が難しかったスマート工場実現を支援する。
三菱電機は2017年3月6日、スマート工場の新たなエッジ領域の基盤として「FA-ITオープンプラットフォーム」を提案することを発表した。特徴はメーカーやベンダーにこだわらない真のオープン化を目指した点である。
三菱電機では、2003年から現場起点の情報を取得して生産性やコストの改善につなげるコンセプトの「e-F@ctory」を展開。スマート工場の実現に向けては、基本的にはこの「e-F@ctory」を拡大するという方針で進めてきた。「e-F@ctory」には、e-F@ctoryアライアンスというコミュニティー活動があり、基本的にはオープンな組織だとされてきた。また三菱電機が開発したフィールドネットワークの「CC-Link」もCC-Link協会が運営しており、オープンなものだとされている。しかし、現実的には三菱電機色が拭えず、多くの競合企業などにとっては入りづらい環境となっていた。
今回の「FA-ITオープンプラットフォーム」では「三菱電機としても、メーカーや規格の壁を越え、オープンなプラットフォームが必要と考えた」と三菱電機 常務執行役 FAシステム事業本部長 漆間啓氏は述べる。さらに「三菱電機の囲い込みから一歩踏み出し、誰にでも使ってもらえる仕組みを提供することを目指す。囲い込みから脱していく」と三菱電機 執行役員でFAシステム事業本部 副本部長の山本雅之氏は強調した。
新たに提供する「FA-ITオープンプラットフォーム」は、具体的にはフィールドバスなどで通信を行うデバイス層と、MESやERPなどのビジネスシステム層の間のエッジ層に設置する。具体的には、産業用PCやPLCなどの中に組み込むソフトウェアとして提供する。
機能としては、異種プロトコルの情報が行き交うフィールドバスからのデータを異種環境を吸収して変換し有意な情報として保持するデータコレクタ機能と、上位のビジネスシステムやアプリケーションとの連携を実現するゲートウェイおよび、API・SDK機能を持つことが最大の特徴。従来は直接接続することができなかった、デバイス層から上位IT層までのデータ連携が可能となった。
さらに、同プラットフォーム内に「データモデル管理機能」も用意。生産現場のデータの構成や状態を定義、整理して分かりやすく表現。ビジネスシステムやアプリケーションが生産現場のデータを容易に扱えるようにする。インダストリー4.0で定義されている管理シェルに相当する機能だとしている※)。
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