特集
» 2018年02月19日 06時00分 公開

初見で使いこなせますか、最新輸入車のHMI車両デザイン(2/2 ページ)

[齊藤由希,MONOist]
前のページへ 1|2       

スマートフォン感覚で操作してはいけない

Q5の手書き文字入力。認識精度は高いが、1文字ごとの処理時間の長さが気になった(クリックして拡大)

 文字の手書き入力やタッチ操作はもはや珍しいHMIではなくなった。アウディは複数のモデルで文字の手書き入力を採用しており、試乗したQ5でも利用できた。Q5は右ハンドルのため左手の指で文字を書かざるを得ないが、崩れた文字でも認識した。

 タッチ操作を前面に押し出しているのはレンジローバー・ヴェラールだ。一部にダイヤルやボタンなど物理スイッチはあるが、コンソールだけでなくステアリングスイッチまでタッチ操作に対応している。左手側のステアリングスイッチは、メーターの表示を上下にスクロールする時に、外周を指でなぞったりスイッチをカチカチと押したり複数の入力で操作できるようになっていた。また、画面表示に合わせてスイッチの文字を消灯したりもした。

 エンジンをかけると運転席周りのタッチパネルが一斉に点灯する様子や、凹凸がない滑らかな操作系は新鮮で、新し物好きは楽しめそうだ。

レンジローバー・ヴェラールの独特なHMI。エンジンをかけるとスイッチの表示が点灯する(クリックして拡大)

 Q5とレンジローバー・ヴェラール、ともに残念に思ったのは操作に対する応答性の低さだ。スマートフォンを操作する感覚でHMIをいじると、タイムラグが気になってしまう。例えばQ5の手書き文字入力は1文字ごとに読み込みに数秒を要した。1文字削除するのにも同じくらいの時間がかかる。50音表から1文字ずつ探す方が早くてストレスがないと思う人もいるだろう。

 レンジローバー・ヴェラールは走行モードを選択する時に、コンソールでダイヤルを操作してから一呼吸置いてメーターの表示が変わるタイムラグがあった。タイムラグに気付かず、走行モードが切り替わらないと思って再度ダイヤルを回すと結果的に2回続けて操作したことになる。両モデルとも、先進的な技術を採用しているだけに、ちょっとした反応の遅さが欠点として目立ってしまった。

迷う余地のないシンプルさ

 車載情報機器にせよ、ADASにせよ、機能が多くなるのはユーザーの利便性を追求した結果であり、間違ったことではない。しかし、操作を迷ったり間違えたりする余地がないシンプルさも、利便性の一面であると感じた。

カマロ コンバーティブルはカーナビゲーション機能なしで、CarPlayとAndroid Autoに対応のディスプレイオーディオ。電話やメッセージの送受信も利用可能(左)。トゥインゴ GTのクルーズコントロールスイッチ(右)(クリックして拡大)

 トゥインゴ GTに搭載されている速度リミッターとクルーズコントロールの設定は至って単純だ。シフトレバーの奥にスイッチとステアリングスイッチのプラスとマイナスしか押すものがない。車載情報機器とiPhoneを連携させ、普段使用している音楽や連絡先などをそのまま持ち込めるアップルの「CarPlay」も、直観的に操作できる点が魅力的だった。試乗車のうち、トゥインゴ GT以外の全てのモデルがCarPlayやGoogle「Android Auto」に対応していた。

メーター中央と車載情報機器の画面、両方を使っても過分でないほど、機能や情報量が増えている。写真はQ5(クリックして拡大)

 ただ、トゥインゴ GTの運転支援機能やCarPlayは、機能が絞られているからこそシンプルな操作が可能だ。機能が増えれば増えるほど、スイッチやタッチパネルでの操作を簡易にするのは難しい。

 また、操作に対する応答性をスマートフォンとそん色ない水準にしなければストレスにも感じられる。音声認識など、車載情報機器のメニューの階層に縛られない入力方法も必要だ。


 輸入車各モデルに関して、初めて使うからこそ気になったポイントを挙げた。これらは慣れてしまえば、あるいは所有してしまえば気にならなくなるような、さまつなことである。また、ブランドの個性を発揮していく上では新技術を採用していくことは欠かせない。

 しかし、個人でクルマを所有せず、必要な時にだけ借りる人が増えていくと、乗ったことのないモデルを運転する場面に多くなっていくだろう。カーシェアリングやレンタカーでクルマを借りてさあ出かけようという時に、使い方をじっくり調べるのはおっくうだ。操作に反応するまでタイムラグがあることも、気付いて慣れるまではストレスになる。

 富士経済の調査(※)によれば、カーシェアリングの市場規模は2035年には2016年比8.5倍の1兆4420億円に拡大する見通しだ。決まった場所に返却せず乗り捨てが可能なワンウェイカーシェアリングや、個人間で貸し借りができるP2P(Peer to Peer)カーシェアリングが展開されており、欧州や中国が市場をけん引していくという。

(※)乗用車を中心に普及が進むコネクテッドカーの世界市場を調査

 カーシェアリング向けの車両は機能を絞ったものにすれば、初見で使いにくいという事態を防ぐことはできるが、所有しないからこそ、上級車種も含めてさまざまなクルマの中から選んで使う楽しさもある。誰にとっても使いやすく、ストレスがない操作方法を採用していくことは、今後のHMIにとって重要なポイントの1つとなりそうだ。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.