デンソーとBlackBerryは、カーナビゲーションシステムやメーター表示などを行うデジタルクラスタ、ヘッドアップディスプレイ(HUD)といったHMI製品を統合的に管理できる「統合HMIプラットフォーム」を共同開発した。Intelも開発に協力している。2019年以降、車両に搭載される予定。
デンソーとブラックベリー(BlackBerry)は2017年12月14日、車両中央のヘッドユニットに組み込むカーナビゲーションシステムや、メーター表示などを行うデジタルクラスタ、ヘッドアップディスプレイ(HUD)といったHMI(Human Machine Interface)製品を統合的に管理できる「統合HMIプラットフォーム」を共同開発したと発表した。プロセッサベンダーとしてインテル(Intel)も開発に協力している。同プラットフォームは、2019年以降、順次車両に搭載される予定だ。
この統合HMIプラットフォームは、ブラックベリーのハイパーバイザー「QNX Hypervisor」を用いて、インテルの「Atom」プロセッサ「A3900シリーズ(開発コード名:Apollo Lake)」に搭載している。ハイパーバイザーを用いた仮想化により、特性の異なる複数のOSを独立化させ、1つのプロセッサで統合制御することにより、HMI製品同士の連携、協調が可能になり、必要な情報を適切なタイミングで適切な機器に表示できるようになる。なお、ハイパーバイザーを自動車のコックピット向けに適用するのは「世界初」(デンソーとブラックベリー)だという。
近年、自動車の安全性や利便性の向上に伴い、車両からドライバーに伝えるべき情報は増加しており、車室内には複数のHMI製品が搭載されるようになっている。かつては、機械式のメーターとカーラジオだけだったが、メータークラスタはディスプレイを用いたデジタルクラスタになっており、カーラジオもカーオーディオ、カーナビゲーションシステムと進化をつづけている。ドライバーの視線を車両前方に維持した状態で運転に必要な情報を表示するHUDも軽自動車にも採用されるなど普及が進んでいる。
これらのHMI製品を作動させるためには、その特性に合わせ、個別に複数のOSが必要になる。例えば、安全性に関わるデジタルクラスタには高い信頼性やリアルタイム性を持つOSが、進化スピードが速いカーナビゲーションシステムには最先端の表示が可能なOSが求められる。また、従来これらのOSは、各HMI製品に組み込まれたプロセッサ上で個別に動作しており、表示内容や音声を複雑に連携、協調させることはできないのが一般的だった。
今回の統合HMIプラットフォームを使えば、プロセッサはA3900シリーズだけを用いつつ、ハイパーバイザーを介して各HMI製品に最適なOSを使って動作させることが可能になる。加えて、カーナビゲーションシステム、デジタルクラスタ、HUDの間での表示内容や音声の連携を容易に行えるようになる。
例えば、運転中の車両周辺やドライバーの状況に応じた注意喚起や警告を、分かりやすい表現で、分かりやすい場所へ、違和感のないタイミングで表示することができる。また、ドライバーの前に設置されているデジタルクラスタと車両中央のヘッドユニットに設置されたカーナビゲーションシステムの連携により、一体感のあるアニメーションの表示や、デジタルクラスタ内にカーナビゲーション画面を一部表示することなども可能になる。加えて、1つのプロセッサで、デジタルクラスタとカーナビゲーションシステムの双方に求められる高い描画性能を確保でき、商品力向上とコストダウンの両立に貢献できるという。
なお、デンソーは、消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2018」(2018年1月9〜1月12日、米国ネバダ州ラスベガス)において、統合HMIプラットフォームのデモ機を披露する予定だ。
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