日立製作所は、工場やプラント、鉄道、エネルギー分野などの点検業務の効率化を目指し、アナログメーターを自動で読み取り情報を収集する「メーター自動読み取りサービス」を製品化した。
日立製作所は2018年1月29日、工場やプラント、鉄道、エネルギー分野などの点検業務の効率化を目指し、アナログメーターを自動で読み取り情報を収集する「メーター自動読み取りサービス」を製品化し、2018年2月1日から販売を開始する。
工場や社会インフラなどでは、点検業務における人手不足が課題視されており、これらの業務の効率化が大きな課題となっている。これらを解決するためにIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)の活用などへの期待が集まっているが、センサーの設置負担やコスト、スマートメーター化の費用負担などから、そもそものデータ取得の負担が大きくなり、活用が進んでいないという状況がある。
これらを解決し、現場の点検業務の負担を軽減しようという狙いで開発されたのが「メーター自動読み取りサービス」である。「メーター自動読み取りサービス」は、アナログメーターの指示値を画像を撮影することでデジタルデータ化するカメラモジュールの「レトロフィット無線センサー」と、収集したデータの可視化や異常発生時の自動通知を行う「センサーデータ収集・監視システム」で構成されている。
同サービスの特徴がアナログメーターを、簡単に後付けセンサーで読み取れるという点である。
日立製作所 制御プラットフォーム統括本部 大みか事業所 制御プラットフォーム開発部 部長の西村卓真氏は「工場やプラント、インフラ系などで数多く採用されているアナログメーターだが、スマートメーターに切り替えるにはコストがかかる。さらに切り替え時期に、稼働を止めなければならなくなり、それを受け入れられない企業が多い。今回のシステムの特徴は、後付けで簡単にアナログメーターを読み取れるようにしたことで、現在の工場などの稼働を止めずに簡単に稼働監視が行えるという点だ」と特徴について述べている。
読み取れるアナログセンサーの種類は、丸型メーター(単針)、丸型メーター(3針)、液面計、温度計、ラチェット式カウンター、吸湿呼吸器など。吸湿呼吸器は色相の変化を数値化することで判断するという。
さらに、同サービスの特徴となるのが、エッジ領域でデータの選別を行っているため、軽いデータ量での情報収集を可能としている点である。工場やプラント内で通信速度が十分に取れないIoT向けの無線センサーネットワークにおいて、画像をそのまま伝送するのは困難である。そこで、センサーモジュール内で一時的に画像解析を行い、メーター指示値のみを伝送することで、効率的な通信の運用を行えるようにした。
具体的には、丸型メーターだとすると、画像をタップして、計測値の最低値と最高値の位置を設定。その針の位置を判別することで「針が指している数値」だけを抽出し、データとして送る。画像の認識には一部ニューラルネットワークなどのAI(人工知能)技術なども活用している。軽量化しているため、無線メッシュネットワークなどでも簡単に送信できる他、省電力化も実現し電池の電力で3年間使用し続けることができるという。ちなみに同サービスでは、2.4GHzの無線ネットワークを採用しているという。
同サービスの価格は、アナログメーター5点、収集期間2カ月のトライアルサービスが270万円から。基本サービスとなるアナログメーター10点のものが年間720万円、アナログメーターが100点の場合は年間2400万円となる。ただ、基本的には日立製作所グループである日立システムズが設置から保守まで全面サポートする形としており、ユーザー側の負担は特にないといえる。西村氏は「点検業務にかかっていた工数やコストの削減効果を考えると、費用対効果は見えやすいと考えている」と述べている。
現在は数百m規模の工場やプラントなどを想定したサービスとして用意したが、今後はメーター数が少なくより広い範囲に設置されるケースに対応するものなど、ラインアップを拡充していく方針だとしている。
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