フアン氏が発表した、NVIDIAとコマツの協業に関する記者説明会も開かれた。コマツが2015年2月から推進している施工ソリューション「スマートコンストラクション」事業を担当する、コマツ 執行役員 スマートコンストラクション推進本部長の四家千佳史氏は「日本の建設業界では、高齢化や熟練工の減少による深刻な労働力不足が課題になっている。スマートコンストラクションはその課題を解決するための事業であり、既に4000以上の建設現場に導入されている。NVIDIAとの協業によるAI活用で、さらに建設現場を変えていく」と語る。
四家氏によれば、コマツの主力事業である建機は“モノ”であり、建機の位置や状態を知ることができる「KOMTRAX」は“モノ”をつなげるサービスだという。これらに対して、スマートコンストラクションは、建機の仕事量や品質といった“コト(仕事)をつなげることを目的としている。「現在のスマートコンストラクションは、やっと“コト”をつなげられるようになったところで中間地点にすぎない」(同氏)。
そして、スマートコンストラクションのさらなる進化に必要だと考えているのがAIであり、そのためのNVIDIAのGPUというわけだ。コマツはパートナー企業であるスカイキャッチ(Skycatch)のドローンで取得した点群データからデジタルの3次元地図を短時間で作成するために、Jetsonを組み込んだ「Edge Box」というデバイスを開発した。ドローンとEdge Boxを連携したソリューション「日々ドローン」により、3次元地図の作成に掛かる時間を10時間から20分に圧縮できた。
日々ドローンにおけるJetsonの利用目的は画像処理にとどまっている。これが、定点カメラとEdge Box、Jetson上で動作するAIを組み合わせたソリューション「監督AI」では、カメラ画像をAIで解析し、ベテランの現場監督のように現場の建設プロセスの状態を適切に把握できるようにしていくという。この他にも、「建機にAIを搭載することによる作業のインテリジェント化にも取り組みたい。最終的には完全自動化や無人化も視野に入る」(四家氏)とした。
四家氏は「長らくデジタル化が難しいとされたきた建設現場だが、今や最先端のデジタル化の舞台になっている。スマートコンストラクションの展開はこれからも長い道のりになるが、NVIDIAとともに駆け抜ける。海外展開でも協調できれば」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.