トヨタ自動車は、中国とインドで2020年に電気自動車(EV)を投入する。インドではスズキと協力する。
トヨタ自動車は2017年11月17日、中国とインドで2020年に電気自動車(EV)を投入すると発表した。インドではスズキと協力する。
中国やインドは政府主導でEVなど電動車を普及させようとしている。中国は現在のガソリン車の生産台数に対する「新エネルギー車」の生産台数の比率を、2018年に8%、2019年に10%、2020年に12%へと引き上げるNEV(New Electrical Vehicle)規制を実施する。インドも2030年までに新車販売をEVのみに限定するという方針を示している。
トヨタ自動車は、こうした各国の方針に対して1社単独で取り組むのではなく、協力できる仲間を増やしてきた。2016年12月にEV開発の社内ベンチャーを立ち上げ、豊田自動織機やアイシン精機、デンソーも人員を出向させた。2017年9月には、マツダやデンソーと共同で、EVの基本構想に関する技術開発を行う新会社を設立し、SUBARU(スバル)も出張ベースで新会社に技術者を派遣している。
トヨタ自動車とスズキは、インド向けのEV投入に関する覚書を2017年11月17日に締結した。業務提携そのものは2017年2月からスタートしている。今回の協業では、インド市場向けにスズキが生産するEVにトヨタ自動車が技術的支援を行う。
スズキは東芝やデンソーとの共同出資でリチウムイオン電池パックを生産する新会社を立ち上げ、リチウムイオン電池の現地生産に乗り出す。設備投資額は約200億円で、生産はグジャラート工場の敷地内で行う。新会社の資本金は20億円で、出資比率はスズキが50%、東芝が40%、デンソーが10%。モーターなど主要部品もインドで調達する計画だ。
インド向けのEVはスズキからトヨタ自動車向けに供給する。さらに、充電ステーションの整備や、販売店のサービス技術者育成、使用済み電池の適切な処理体制の整備なども両社での協力を検討していく。
中国が普及させる新エネルギー車には、EVや燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHV)が該当する。トヨタ自動車は中国で、プラグインハイブリッドシステムの開発、生産の現地化を進めている。2018年には中国で開発したプラグインハイブリッドシステムを、現地の量販車種である「カローラ」「レビン」に搭載すると発表している。
FCVに関しては、トヨタ自動車研究開発センター(中国)に水素ステーションを設け、セダンタイプのFCV「ミライ」2台での実証実験を開始した。2017年10月から3年間を実験期間とする。採算性や実現可能性の調査(フィージビリティスタディー)の対象をミライのような乗用車だけでなくバスなど商用車タイプにも広げていく。
東京モーターショー2017では、200人体制で全固体電池の開発に取り組み、2020年代前半の実用化を目指すことを公表した。全固体電池は、電解液の代わりに固体の電解質を使用することで、安全性の向上と小型化を両立できるのが大きな特徴だ。また、固体電解質は電池を複層化しやすくなり、小型化しながらエネルギー密度を高められる。
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