Volkswagenは2025年までの中期経営計画を発表した。今後10年で、量販セグメントのトップブランドとなることを目標に、製品戦略を見直して高収益化を図る。電気自動車には25億ユーロ(約2980億円)を投資する。また、ユーザー8000万人のテレマティクスサービスを構築し、売上高10億ユーロ(約1200億円)を見込んでいる。
Volkswagen(フォルクスワーゲン、以下VW)は2016年11月22日(現地時間)、2025年までの中期経営計画を発表した。今後10年で、量販セグメント(高級車ブランドを除く乗用車セグメント)のトップブランドとなることを目標に、製品戦略を見直して高収益化を図る。電気自動車には25億ユーロ(約2980億円)を投資する。また、ユーザー8000万人のテレマティクスサービスを構築し、売上高10億ユーロ(約1200億円)を見込んでいる。
こうした将来への投資のため、収益性の低い既存モデルの生産中止を検討しており、設備投資や開発費の対象を見直すことによる投資削減も積極的に行っている。また、ドイツ国内の人員配置も見直し、“従来の分野”の2万3000人の雇用を削減して“将来的な分野”に9000人の新たな雇用を創出する。
VWの一般労組評議会と理事会はこの雇用削減に同意しており「次世代のVWのクルマをドイツで生産していくための妥協案」と述べている。
VWは2025年までに3つの項目に注力する。これにより、営業利益率は2015年の2%から、2020年には4%に、2025年には6%まで引き上げる。
1つ目の注力テーマは「量販セグメントの最上位ブランド」の地位を確保することだ。現時点でこの地位を確立できているのは中国と欧州のみだとしている。製品戦略を見直すことにより、北米や新興国などグローバルで量販セグメントの最上位ブランドとなることを目指す。
製品戦略の方針は、SUVラインアップの強化と電動化の2つに重点を置く。まず、北米でVWは“ニッチブランド”となっているが、収益力の高い量販ブランドとして北米市場で成長させる。大型SUVやリムジンのラインアップを拡充する他、電気自動車も投入していく。電気自動車の生産は2021年から北米で行い、充電インフラの整備にも投資していく。
そして中国では、これまでに築いてきた基盤を強化するため、SUVラインアップの拡大と電気自動車の投入を急ぐ。また、経済的な余裕が生まれ始めた中間層を取り込めるモデルも展開する。こうした中間層向けモデルは、インドや南アフリカ、ロシアにも投入していく計画だ。
2つ目に、VWは2020年から電気自動車に関する大規模な施策を行う。パリモーターショー2016では、コンパクトカーの「ゴルフ」よりもやや小さいボディーサイズで同等の価格の量産モデルを2020年に発売する計画を発表した。
電気自動車のプラットフォームには、専用のモジュール設計「MEB」(Modularer Elektrifizierungsbaukasten)を展開していく。2025年までに年間100万台、30モデルを販売するとしており、25億ユーロ(約2980億円)の投資を計画している。こうした将来投資の資金繰りのため、少量生産のモデルや利益率の低い既存モデルや派生車種の生産中止を含め、さまざまな対策を行う。
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