事例を紹介する中で興味深かったのが、ThingWorxユーザーに、バリューチェーンの各プロセスにおけるAR活用の機会を聞いたアンケートの結果だ。PTCは、製造運用やサービスに集中するかと想定していたが、全てのプロセスで偏りなくAR活用の機会を感じているという回答だった。
またAR表示の技術が大幅に進化していることも説明した。2016年までは、AR表示のためのマーカーが必須だった。しかし現在は、マーカーの他に、空間認識(Spatial Tracking)、3D CADデータからの形状認識(CAD Tracking)が可能になっているという。「動かないモノにARを表示する場合、空間認識や3D CADデータからの形状認識は有効だ」(ヘプルマン氏)。
ヘプルマン氏は、デジタルとフィジカルの世界を融合する上で、フィジカルからデジタルへの流れはIoTが、デジタルからフィジカルへの流れはARが担うと説明。その上で「これまでThingWorxのことをIoTプラットフォームと呼んできたが、ARもカバーするようになったThingWorxにとってIoTはその一部でしかない。今後は『インダストリアルイノベーションプラットフォーム』として訴求していきたい」と述べている。
なお、今回の会見の内容は、経済学者マイケル・E・ポーター(Michael E. Porter)氏とヘプルマン氏の共著論文の第3弾「A Manager's Guide to Augmented Reality」に基づくものだ。英語版は2017年11月に公開されているが、同年12月には日本語版が発行される予定である。
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