IoTで目指すべきは“体験”の拡張、PTCがARとの融合で実現LIVEWORX 2016(1/2 ページ)

PTCの年次ユーザーカンファレンス「LIVEWORX 2016」の基調講演に、同社社長兼CEOのジェームズ・E・ヘプルマン氏が登壇。「IoTによるデジタルとフィジカルの融合によってエクスペリエンス(体験)を拡張できる。そのための手段になるのがAR(拡張現実)/VR(仮想現実)だ」と訴えた。

» 2016年06月08日 11時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
PTCのジェームズ・E・ヘプルマン氏 PTCのジェームズ・E・ヘプルマン氏

 PTCは2016年6月6〜9日(現地時間)、米国マサチューセッツ州ボストンにおいて、年次ユーザーカンファレンス「LIVEWORX 2016」を開催。IoT(モノのインターネット)への注目が集まる中、IoTアプリ開発プラットフォームで有力な「ThingWorx」を核に、AR(拡張現実)アプリ開発プラットフォーム「Vuforia」、予測分析と機械学習のソフトウェア「ColdLight」など、2013年以降に買収した製品を融合した新製品を多数発表した。

 2016年6月7日の基調講演に登壇したPTC 社長兼CEOのジェームズ・E・ヘプルマン(James E. Heppelmann)氏は「これまで社会を変えてきた電話やインターネット、モバイル、ソーシャルなどと同じことが起こりつつある。それがIoTであり、これからテクノロジーの大変革が始まるだろう」と語る。そして「製品がクラウドにつながりさまざまなデータが集まる。それらのデータの分析結果からアプリが開発され、新たなサービスが生まれる。製品の設計から製造、オペレーション、サービスに至るまで全てが変わることは、チャンスでもありリスクでもある」(ヘプルマン氏)と続け、IoTによって起こる変革に対応していくことの重要さを説いた。

「ThingWorx」と「Vuforia」を融合した「Vuforia Studio」

 そしてヘプルマン氏は「IoTによるデジタルとフィジカルの融合によってエクスペリエンス(体験)を拡張できる。そのための手段になるのがAR/VR(仮想現実)だ」と訴えた。これは、最近になってさまざまな企業が“IoTプラットフォーム”を発表しているが、AR開発プラットフォームのVuforiaを傘下に収めたPTCだけが、エクスペリエンスの拡張を実現できる唯一の企業であるというメッセージだ。

 その具体例として示したのが、Catapiller(キャタピラー)の発電機運用の事例だ。キャタピラーの発電機「XQ35」を対象に、「iPad」に組み込んだARアプリによって各種センサー情報や故障箇所などを、iPadの画面内で仮想的に表示できるというものだ。XQ35のセンサー情報はThingWorxによってリモートで取得できるようになっており、センサーのリアルタイム情報がiPadのARアプリ上に反映されるという仕組みだ。

「iPad」でキャタピラーの発電機「XQ35」をARアプリで撮影iPadの画面 「iPad」でキャタピラーの発電機「XQ35」をARアプリで撮影(左)。iPadの画面には、XQ35とともに各種センサー情報や故障箇所などが仮想的に表示される(右)(クリックで拡大)

 そしてこの事例を実現したのが、ThingWorxとVuforiaの技術を融合した「Vuforia Studio Enterprise」である。「ThingX」というコードネームで開発されていたが、これから評価版として利用を希望する顧客に展開する。2016年末には製品化する予定だ。

 Vuforia Studio Enterpriseは、PTCの3D CAD「Creo」で作成した3Dデータとの連携も可能だ。先述したキャタピラーの事例では、XQ35の設置場所を検討するために、XQ35の3Dデータを使って設置した状態を仮想的に確認できることも示した。「XQ35を運用管理するオペレーターだけでなく、XQ35を販売するセールスやマーケティングにもメリットがある。XQ35に関わるさまざまな人々のエクスペリエンスが変わったのだ」(ヘプルマン氏)。

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