PTCの年次ユーザーカンファレンス「LIVEWORX 2017」では、3D CADツール「Creo」を使った設計プロセスにIoTやARをどのように役立てられるかについての提案展示が行われた。展示の3Dデータは、Creoのユーザーであるミズノ、バンダイ、ヒロボーが提供した。
PTCが米国マサチューセッツ州ボストンで開催中の年次ユーザーカンファレンス「LIVEWORX 2017」(同年5月22〜25日)では、展示会場の「Xtropolis」で、同社やパートナー企業の製品/サービスに関する展示が行われた。
日本法人のPTCジャパンは、このXtropolisの一角を使って、3D CADツールである「Creo」と近年注力しているIoT(モノのインターネット)やAR(拡張現実)をどのように組み合わせられるかについての提案を行った。この提案展示では、Creoのユーザーであるミズノ、バンダイ、ヒロボーが製品の3Dデータを提供した。
ミズノが提供したのはゴルフクラブの3Dデータである。実物のゴルフクラブに3軸の加速度センサーとジャイロが組み込まれており、ゴルフボールを打ったときのセンサーデータは、無線LAN通信モジュールを介してIoTプラットフォームの「ThingWorx」を使って収集される。
収集したセンサーデータは、Creoの2017年6月のアップデートで提供される「Product Insight」を使って、3D CADの設計に利用できる。展示では、収集したセンサーデータを工学技術計算ツール「MathCad」で分析した結果を用いて、ゴルフクラブの先端にあるウェイトの最適な配置を決めるのに利用していた。

「ThingWorx」で収集したセンサーデータに関するダッシュボード(左)。「MathCad」でセンサーデータを分析し、「Product Insight」で「Creo」の設計データと連携させることで、ウェイトの最適な配置を決められる(クリックで拡大)一方、AR活用の事例で、販売中の製品の3Dデータを提供したのがバンダイとヒロボーだ。バンダイは変形ロボットのおもちゃ「ブーブガーディアン」、ヒロボーはラジコンヘリコプターになる。
展示では、Creo上で3DデータからARデータを直接出力できる新機能を使って、ブーブガーディアンのロボットの状態と飛行機に変形した状態をARで比較したり、ARのラジコンヘリコプターをスマートフォンで操作したりする応用例を示した。ロボットの変形や、ラジコンヘリコプターの操作といったインタラクティブなARコンテンツは、「ThingWorx Studio」で簡単に作成できるという。

ヒロボーのラジコンヘリコプターの隣にARのラジコンヘリコプターを並べてみた(左)。こちらのARコンテンツは、スマートフォン画面のボタンを使って、実際のラジコンヘリコプターのように飛ばすことができる(右)(クリックで拡大)PTCジャパンの説明員は「これまではCreoのユーザーに対して、当社が注力しているIoTやARからどんなメリットが得られるかを伝えきれていなかった。しかし、今回の展示に用いているCreoの新機能によって、IoTやARを設計に役立ててもらえるはずだ」と述べている。
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