米国では「21世紀医療法」に基づく医療イノベーション推進策が本格化しており、ヘルスデータ利活用の領域まで及んでいる。そこで重視されているのが「リアルワールドデータ(RWD)」と「リアルワールドエビデンス(RWE)」だ。
前回の連載第27回で触れたように、米国の「21世紀医療法」に基づく医療イノベーション推進策は、医療機器における「リアルワールドデータ(RWD)」利活用でも本格化してきた。
2017年8月31日、米国食品医薬品局(FDA)は、「医療機器の規制に関わる意思決定を支援するリアルワールドエビデンス利用 - 業界および食品医薬品局スタッフ向けガイダンス」(図1参照:関連情報、PDFファイル)を公表した。
FDAは、リアルワールドデータについて、さまざまなソースから日常的に収集される、患者の健康状態および/または医療の提供に関連するデータと定義し、具体例として、電子健康記録(EHR)から派生したデータ、請求/支払データ、製品/疾病登録データ、家庭用機器に含まれる患者生成データ、モバイルデバイスなど健康状態を知らせることができるその他のソースから収集されたデータなどを挙げている。
また、「リアルワールドエビデンス(RWE)」については、リアルワールドデータの分析から派生した医療製品の利用や潜在的ベネフィット又はリスクに関連する臨床的エビデンスと定義している。FDAは、リアルワールドエビデンスを生成するために利用したリアルワールドデータが、特定の規制に関わる決定を告知またはサポートするのに十分な品質を有すると判断した時、リアルワールドエビデンスの利用が、医療機器の規制に関わる意思決定をサポートするという見解を示している。そして、具体的なリアルワールドエビデンスの用途として、以下のような例を挙げている。
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