ヤンマーとコニカミノルタは、ドローンを使って農作物の生育状況をセンシングした結果を基にコンサルティングなどを行う「農業リモートセンシング事業」を合弁で始める。新設のサービス事業会社を中心に、「世界初」(ヤンマー)の農業リモートセンシングに基づく部分施肥サービスなどを含めて、2023年度に約100億円の売上高を目指す。
ヤンマーとコニカミノルタは2017年9月29日、東京都内で会見を開き、ドローンを使って圃場における農作物の生育状況をセンシングした結果を基にコンサルティングなどを行う「農業リモートセンシング」事業について説明した。同年10月1日付に合弁で設立したサービス事業会社「ファームアイ株式会社」を中心に、「世界初」(ヤンマー)の農業リモートセンシングに基づく可変施肥サービス、関連機器の販売などを含めて、2023年度に100億円規模の売上高を目指す。
ヤンマー 副社長兼アグリ事業本部 本部長の鈴木岳人氏は「当社のアグリ事業では、農家に農業機械を販売するだけではなく、農作物を育ててから消費者のもとに届くまでの農業バリューチェーン全体をサポートしていく方針を打ち出している。今回事業化する農業リモートセンシングは、センシングデータを基にした農家の収益向上だけでなく、熟練の技術やノウハウを見える化し、新たな農業の担い手に伝承していく上でも貢献できるだろう」と語る。
コニカミノルタ 執行役 産業光学システム事業本部 本部長 市村雄二氏は「当社は見えないものを可視化するエッジデバイスと画像解析技術を強みの1つとしている。中でも、生育中の稲の葉緑素を計測できる『SPAD』は業界標準として用いられているが、このSPADと同様の計測をドローンで上空からカメラ撮影して独自の画像解析技術で行えるのが、今回の農業リモートセンシングだ」と説明する。
新会社であるファームアイは、資本金2億5000万円のうちヤンマーが51%、コニカミノルタが49%を出資する。社長にはヤンマー産業の社長を務めていた吉田博氏が就任する。吉田氏は「農家の新しい眼になるという意味を込めて、ファームアイと名付けた。2014〜2016年度に実施した3年間の実証実験では、農業リモートセンシングによる解析と可変施肥など施肥設計との組み合わせにより、稲作農家の収益を15〜30%向上できることを確認している。このメリットを訴求して、2023年度には国内の担い手農家が扱う水田面積の約30%、約4000軒に展開したい」と強調する。
なお、農業リモートセンシングの価格は、1ha当たり1万2000円を予定している。「撮影、分析、コンサルティングまでを含めた価格で、部分施肥などは別料金になる。3年間の実証実験に参加した農家に聞き取りを行った上で、受け入れ可能な価格として設定した」(ヤンマー)という。
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