パナソニックが自律移動ロボット向けに開発した3次元距離計測センサー「3D LiDAR」は、2個のモーターを用いた独自構造により垂直方向60度、水平方向270度の広角スキャンを実現した。
パナソニックは2017年9月27日、東京都内で会見を開き、「CEATEC JAPAN 2017」(2017年10月3〜6日、幕張メッセ)の展示内容などを説明。会見では、CEATEC JAPAN 2017の初公開展示の1つである3次元距離計測センサー「3D LiDAR」を紹介した。
3D LiDARは、赤外線レーザーのスキャニングによって周辺の検知を行うライダーの1種だ。ライダーというと、現在は自動運転技術向けのセンサーとして注目を集めている。しかし、パナソニックの3D LiDARは自動車向けではなく、自動搬送機や宅配ロボットといった自律移動ロボットを主な用途として想定している。独自構造を用いたレーザスキャン技術により、垂直方向60度、水平方向270度の広角スキャンを実現したことが最大の特徴だ。
3D LiDARの開発を担当したパナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 インダストリアル事業開発センター センシング事業開発部 事業開発3課 主任技師の三好麻子氏は「ロボット活用による自動化、省人化の流れの中で、自律移動ロボットの市場が急速に拡大している。今回開発した3D LiDARは、時速数十km以上と高速で動く自動車のセンサーに適した計測距離は持たないが、人間の歩行と同程度の速度で動くであろう自律移動ロボットに最適な計測距離と垂直方向の広いスキャン範囲を実現した」と語る。
3D LiDARでは、水平方向のレーザースキャンを行うためミラーを水平方向に回転させるモーターの他に、ミラーを上下(垂直方向)に傾けるためのモーターも追加している。この2個目のモーターの動きによって、垂直方向で最大60度のレーザースキャンを実現した。
従来のライダーの構造には、垂直方向にレーザー光学系を多数並べたものを水平方向に回転させて周囲のレーザースキャンを行う「複数レーザー方式」や、MEMSミラーを用いる「MEMS方式」などがある。複数レーザー方式は、垂直方向のスキャン範囲がレーザー光学系の数で決まり、多数搭載すると大きく高価になってしまう。MEMS方式は、水平方向のスキャン範囲が狭く、広角にしたい場合にはMEMSミラーを水平方向に多数並べる必要が出てくる。
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