佐々木化学薬品は、ハイス鋼およびダイス鋼上の2液性Ti系硬質皮膜除膜剤「エスツールTHD-08」を開発した。TiAlN膜除膜速度を向上しながらも、SKHなどのハイス鋼やSKDなどのダイス鋼を腐食することなく、液寿命を改善した。
佐々木化学薬品は2017年8月29日、ハイス鋼およびダイス鋼上の2液性Ti系硬質皮膜除膜剤「エスツールTHD-08」を開発したと発表した。TiAlN膜除膜速度を向上しながらも、SKHなどのハイス鋼や、SKDなどのダイス鋼を腐食することなく、液寿命を改善した。
エスツールTHD-08は、除膜剤の温度を約40℃に加温すると、約0.5μm/hrのTiAlN膜の除膜速度が得られる。また、ハイス鋼やダイス鋼をより腐食しにくいよう改良を施した。
液の安定性が良好で液寿命を長時間継続するため、除膜剤の更新コストと廃棄量を抑えることができる。これにより、切削工具、精密金型、治工具などの再生コスト低減につながる。TiAlN膜の他、難溶性とされる炭化チタン(TiC)膜や窒化炭化チタン(TiCN)膜の除膜ができる。
TiAlN膜は、TiN膜に比べて耐摩耗性や耐熱性の向上が期待できるため、切削工具や精密金型、治工具などに採用されている。規格外品や欠陥品、寿命劣化品を廃棄せず、再コーティングすることで再利用が可能だ。これらを再利用するには薬液で元のコーティング膜を除膜する必要があるが、その際、除膜にかかる時間が長いことや除膜剤の薬液コストが課題となっていた。
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