ここ数年間で、日本国内の個人向けの3Dプリンタのブームが落ち着いた、もしくは「ブームが終わった」と報道で表現され、MONOistでもデスクトップ3Dプリンタの出荷数減少を報じた(関連記事:2016年国内の3Dプリンタ出荷台数は減少、造形受託や造形材料の市場は成長傾向)。
ただし田中氏は、「3Dプリンタブームは去ったといわれることはあるが、現実は逆」と述べる。「私の実感としては着実に浸透している。しかし、その様子がなかなか世の中に情報として見えてこない。今回のようなコンテストでそれを見える化して、その様子を観測できるようにしたい。昔よくあった読者投稿型の雑誌のようなコミュニティーを展開したいと考える」
アメリカのファブの盛り上がり方はまさに「DIY(Do It Your self)」で、つまり個人個人によるもので、一方、日本は「DIWO(Do It With Others)」でありコミュニティーがワイガヤで取り組んでいるイメージがあって、それぞれ特色が見えると田中氏は話す。
「日本では、3Dプリンタが“製造業の周辺”からコミュニティーができて広まってきた。製造業と生活者の間という面白い領域が生まれて、化学反応のようなことが今も起こり続けている。日本独特の広がり方をしていると思う」(田中氏)。
また「3Dプリンタは今、黎明期で、いろいろな人が、いろいろ試してみる期間にいる。企業の人にもぜひ体験してもらいたい」と田中氏は述べる。同氏が言うには、前回のコンテストでは会社にある3Dプリンタを借りて応募してきた人も多くいたとのことだ。業務外の自由な時間を活性化して頭を柔らかくしていけば、ビジネスの活性化にもつながっていくのではと田中氏は考える。
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