“兜デザイン”をテーマに行われた「3Dモデラボ コンテスト 〜2015春〜」の審査がようやく完了した。今回は、ブロンズ出力を前提にした厳しい体積・サイズ規定がある中、総データ数110(全101作品)もの3Dモデルデータ作品が寄せられた。果たして、どんな兜デザインが優秀作品に選ばれたのか!?
皆さん、こんにちは。3Dモデラボ事務局です。2015年4月7日から6月16日までの期間、“兜デザイン”をテーマに展開してきた「3Dモデラボ コンテスト 〜2015年春〜」の審査作業がようやく完了しましたので、受賞作品と審査員からのコメント、そして、惜しかった作品などをご紹介します。
まず、審査結果の発表の前に、応募作品数を見ていきましょう。今回の兜デザインコンテストは、3Dプリント出力サービス「i.materialise」のブロンズ出力を前提とした体積・サイズ規定が設けられていました。制限のある中でのデザインとなるため、これまでの3Dモデリングコンテストよりも難易度が高く、どのくらい作品が集まるのか不安もありましたが、総データ数110(作品数101)、参加者39人と、事務局側の予想よりも多くの作品投稿がありました。エントリーしてくださった皆さん、本当にありがとうございます!!
今回は募集テーマが2つありました。1つは「伝統的な兜デザイン×3Dプリンティング」。もう1つは「現代から未来の兜」です。前者が「i.materialise賞」、後者が「モデラボ賞」の該当作品となります。審査員であるマテリアライズジャパン 社長のヨウ・アンセウ氏、デザイナーのラス・オギ氏がi.materialise賞の選考を、モデラボ事務局がモデラボ賞の選考を行いました。
なお、i.materialise賞の優秀者(1人)には、作品のブロンズ出力権とi.materialiseで使える1万円分クーポン券を、準優秀者(2人)には、作品のブロンズ出力権をそれぞれ副賞として贈呈。モデラボ賞の受賞者(1人)には、XYZプリンティング製のパーソナル3Dプリンタ「ダヴィンチ 1.0A」と作品のブロンズ出力権を贈呈する。
それでは前置きはこれくらいにして、各賞の受賞作品を見ていきましょう!
まずは、i.materialise賞 優秀作品の発表です! 審査員であるアンセウ氏とオギ氏が選んだのは……、
かわたんさんの「See Through Kabuto “TURU-KAME”」です!!
おめでとうございまーす。
【作品の説明】
戦国時代の武将にどんな兜が欲しいかインタビューしてみました。
武将A「かっこよくて強そうに見える兜が欲しいのぉ」
武将B「兜は重くて、暑いんじゃ・・・もっと風通しのええ兜が欲しいのぉ」
武将C「そうじゃな、他の武将が持ってない目新しい兜がええのぉ」
そんな武将たちの要望にお応えして作ったのがこちら。「See Through Kabuto “TURU-KAME”(シースルー兜『鶴亀』)」です。本体は、全面唐草模様でシースルーになっております。末永く国が繁栄しますように、と願いをこめて、金色の亀と銀色の鶴を前立ての飾りにいたしました。この兜なら、他の武将に自慢できること間違いなしです。
ヨウ・アンセウ氏: 唐草模様をうまく使いながら全体をシースルーにするという発想には驚きました。規定の体積をうまくクリアしたアイデアですね。3Dプリントでしか作れない、ありそうでなかったデザインだと思います。鶴と亀をあしらった前立ても縁起が良さそうで印象的ですね。
ラス・オギ氏: レースのようなテクスチャーを兜に合わせたのは新鮮ですね。迫力があって強そうなエントリー作品が多い中、この作品にはエレガントな印象を受けました。
そして、i.materialise賞の準優秀作品は……、
naoさん! “ダブル受賞”おめでとうございます!!
【作品の説明】
とにかく食べることが何より好きな食いしん坊将軍と呼ばれるバカ殿の兜。ぜいたくのあまり痛風で自由に動けないため、まさに動かざること山のごとしである。兜前面に「美味」の文字を配している……という妄想兜。体積計算をして条件に合わせるのが一番大変でした。「Rhinoceros」には体積計算できるコマンドがあるので助かりました。
【作品の説明】
武将なんて本陣にどっかりと座り込んで戦いになんか参加しないのだから、兜なんて目立ってなんぼのものでしょう。たまにはこういうかわいい感じもいいのではないでしょうか? 兜本体は人参がモチーフです。
ヨウ・アンセウ氏: もみあげのような頬のプロテクター部分が強調され過ぎているかな? と感じるところもありましたが、これは実際の“変わり兜”として存在していてもおかしくないかもしれませんね。技術的にもうまくモデリングされていると思います。
ラス・オギ氏: コンセプトがユニークで気に入りました! 葉を錣(しころ)に見立てるのは少し無理があるような気もしましたが、鉢のモチーフに人参を使ったのはうまいですね! 愛嬌があって個人的にとても好きな作品です。
今回の審査ポイントについてアンセウ氏は「本当に存在していてもおかしくない実用性のある兜と、アイデアの発想力を高く評価しました。意識したのは、本物の兜と一緒に美術館に並べても、すぐには『新しい作品』であると気付かないような兜らしいデザインです」とコメント。一方、オギ氏は「アイデア、デザインの美しさ、オリジナリティがあるかに加えて、日本の侍文化の歴史や伝統を取り入れたものを選ばせてもらいました」とコメントを寄せています。
i.materialise賞 TOP5は以下の通りです。
i.materialise賞の選考を振り返り、オギ氏は次のように総評しています。
ラス・オギ氏: 皆さんそれぞれのやり方で兜のデザインを再考していて感心しました。TOP5を選ぶのは本当に難しかったのですが、i.materialise賞のテーマに沿って、新しいアイデアの中にも伝統の兜っぽさを残した作品を選びました。「立体印刷兜 豊平 | TOYOHIRA」や「多機能兜『羅威音万』」など、とても美しいデザインながら、体積がオーバーしていてアウトになってしまった作品もあります。作品説明から各デザインに込められた思いを知るのも非常に楽しく、『なるほどな』とうなってしまうものばかりでした。
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