IDC Japanは日本国内における2016年の3Dプリンテイング市場動向と2021年までの予測について発表。デスクトップ機種の売上と出荷台数は減少傾向であるが、プロフェッショナル機種については今後、少しずつ増加していくと見ている。受託製造や保守サービス、造形材料の市場については順調に成長している。
IDC Japan(IDC)は2017年7月19日、日本国内における2016年の3Dプリンテイング市場動向と2021年までの予測について発表した。日本国内における2016年の3Dプリンタの装置本体の売上額については118億円で、前年比で19%減と前年に引き続きマイナス成長となった。ただし、受託造形(サービスビューロー)や保守サービスといった関連サービスの売上額が100億円で前年比7.3%増、消耗品である造形材料の売上額が110億円で同30.6%増となり、市場全体としては「わずかに成長した」とIDCのイメージング、プリンティング&ドキュメントソリューション 三谷智子氏は説明した。
IDCでは、3Dプリンタを次のように定義する。「デジタルモデルあるいはデジタルファイルから、1つまたは複数のプリント技術(例:プリントヘッドやインクジェットノズルなど)を使用することによって、造形材料を連続的に積層し、物体や形状を作り出す機器」。平均販売価格が50万円以下のものを「デスクトップ」、50万円以上の場合を「プロフェッショナル」と分類する。
デスクトップ3Dプリンタ本体の国内出荷台数は5900台で前年比で10.5%減、売上額が8.5億円で同20.8%減だった。プロフェッショナル3Dプリンタ本体の出荷台数が1300台で同1.4%減、売上額が109.8億円とで同18.9%減だった。3Dプリンタ本体市場については、2015年に続きマイナス成長という結果となった。
一時期の3Dプリンタブームが落ち着いたことで、興味本位で購入するユーザーが減少し、「今後は用途や目的が明確なユーザーの購入が進む」と同社では見ている。プロフェッショナル3Dプリンタについては、デスクトップ機種ほど減少度合いが顕著ではなく、今後は少しずつ伸びていくだろうと予測する。
同社は2021年には、デスクトップ機種が4230台で2016年比が6.6%減、プロフェッショナル機種が1720台で同5.8%増と予測する。「技術の進化により着実に応用範囲が拡大し、徐々に市場が成長する。どの造形法が、どのようなものを作成するのに提起しているかについての理解が深まることにより、3Dプリンタの用途が拡大し、市場は堅調に推移する」(三谷氏)。
デスクトップ機種については今後は少しずつ減少していくと予測している。3Dプリンタによる造形に不可欠な3Dデータを作成するための技術のハードルも高いこと、教育機会の提供の難しさなど課題を挙げている。「紙のインクジェットプリンタのような普及は、今のところ考えられない」(三谷氏)。
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