ファブ地球社会コンソーシアムは、2016年8月1日〜10月31日に募集した「ファブ3Dコンテスト2016」の審査結果を発表した。74の応募作品から選ばれた最優秀賞は誰の手に?
慶應義塾大学 SFC研究所が運営するファブ地球社会コンソーシアムは2016年11月19日、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス主催の「Open Research Forum 2016」(11月18〜19日、東京ミッドタウン)において「ファブ3Dコンテスト2016」の審査結果を発表した。
ファブ3Dコンテストは、企業の試作目的にとどまらない、3Dプリンタの新しい“広がり”を生み出すことを目的としたコンテストである。「3Dプリンタのある社会と生活を、より楽しく、面白く、そして優しくするアイデア」(ファブ地球社会コンソーシアム代表で慶應義塾大学 環境情報学部 教授の田中浩也氏)を募集できるように、4つのカテゴリーを設けたことが特徴となっている。
カテゴリー1は小学生/中学生の部「3Dプリンタで自由研究」、カテゴリー2は家族の部「家族が喜ぶ3Dプリンタ活用法」、カテゴリー3はフリースタイルの部「3Dプリンタで○○をやってみた!!!」、カテゴリー4はプロ/セミプロの部「3Dプリントエッグパッケージ」。2016年8月1日〜10月31日の募集期間で、カテゴリー1が8作品、カテゴリー2が17作品、カテゴリー3が31作品、カテゴリー4が18作品、合計74作品の応募があった。
審査結果の発表会場では、それぞれのカテゴリーから最も優秀な作品を選出して紹介。そして、これら4つの最優秀賞ノミネート作品から、各カテゴリーの審査委員長の投票によって最優秀賞を決定した。なお投票方式は、各審査委員長が、担当カテゴリー以外の3作品に対して持ち点である10点を配分していくという方式である。
ここからは各カテゴリーの最優秀賞ノミネート作品を紹介していく。
カテゴリー1「3Dプリンタで自由研究」の最優秀賞ノミネート作品は、福岡県の小学4年生・平野喬久さんによる「スイカの維管束」だ。
……ってその前に小学校で学んだであろう“維管束”が何かを覚えている人が少ないと思うので先に説明しておこう。維管束とは、水分を運ぶ「道管」と「師管」が束になったもの。カボチャやピーマンであれば「わた」に当たり食べることはないが、スイカは食べられる。
平野くんは維管束が好きで、中でもスイカの維管束が大好き(!?)。小学校2年生の夏休みの自由研究でテーマにしたのがスイカの維管束だった。今回の投稿作品は、スイカの維管束を実際に取り出してスキャナーでスキャンして3Dプリンタで出力しようという内容。ただし、トウガンの維管束で練習したり、MRIの画像を参考にしたり、実物をスキャンしてもうまくいかなかったので紙粘土で模型を作ってからスキャンしたりなど、ものすごい試行錯誤を積み重ねているそのプロセスが圧巻。
カテゴリー1 審査委員長の慶應義塾大学名誉教授 小檜山賢二氏も「このカテゴリー1は自由研究ということで、結果よりもプロセスを重視することにしていたが、この作品のプロセスの積み重ねは、審査委員にとっても勉強になるものだった」と述べている。
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