自動化ラインにおいて、ロボットを導入し自動化を実現したのは「ボタン挿入」「ラバーキーの装着」「リブ溶着」「ケースのビス締め(反転も含む)」「外観検査」「機能検査」「排出」などの作業である。
現状では全ての工程を自動化することは難しく、ばねの組み込みやリード線のはんだ付けなどの作業では、人手の領域が残るという。
園田氏は「現在は自動化を前提した設計になっておらず、人手で行っていた工程の中で自動化を推進している。そのため、自動化できない領域が生まれてくる。将来的にはモデルチェンジのタイミングなどを生かし、自動化ラインの特性を生かした設計を行い、生産性の抜本的な改善などにつなげていく」と述べている。
ただ、現状の「箱庭自動化ライン」においても組み立て作業員は1ライン当たり18人から11.5人に削減できた他、ラインの長さは23mから17.5mに削減し省スペース化を実現している。さらに、従来は10時間3000台の生産能力だったのに対し、10時間4800台の生産能力を実現し、生産性も1.6倍と大きく高めることができたとしている。
生産ラインはまずは羽村技術センターで設計・開発し、試作ラインで実証を行った後、タイ工場へ輸送した。実現において苦労した点がボタンをランナーからカットし正しい位置に配置するところだったという。「従来はラインから取り出してランナーから切り出しを行っていたため、2トンのプレス機を使うことができた。しかしパレット上で全ての作業を行う形としたため、圧力の高いプレス機ではパレットのラインそのものへの負担が大きい他、振動で正しくボタンが配置されないという課題があった。これを500kgのプレス機を時間差で制御し、順番に1列ずつボタンを切り出す手法としたことで自動化を実現できた」と園田氏は苦労について語る。
2017年8月からまずは1ラインで稼働させたが、年度内に3ラインを稼働させる計画。さらに半期に2ラインずつ稼働を増やし、最終的には8ラインの自動化を推進する計画である。「現状では12ラインの手組みラインが稼働しているが、自動化ラインは生産性が高まるため、同じスペースでもより多くのラインが設置可能でさらに生産能力も増やせる」と園田氏は述べる。
さらに自動化ラインの生産情報を取得し、2017年秋には通信経由で情報共有できる仕組みを目指す。「既に生産ラインからさまざまな情報が取得できる環境にはなっており、スマート化に向けた取り組みを徐々に進めていく」と園田氏は今後の取り組みについて語っている。
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