カシオ計算機は、タイの関数電卓工場で自動化ラインを稼働させたことを明らかにした。人件費の高騰や人手不足に対応するため。2017年秋ごろには自動化ラインの設備情報を取得し遠隔監視を行う取り組みなども開始する。
カシオ計算機は2017年8月に、タイの関数電卓工場で自動化生産ラインを稼働させたことを明らかにした。
カシオ計算機の関数電卓は2013年ごろまでは全数を中国で生産していた。しかし、人件費の高騰への対策やBCP(事業継続計画)などの観点から、3年前にタイに工場を開設した。当初は中国工場での生産方式をそのままタイ工場に持ち込む形でスタートさせたが「タイでの人件費の高騰が顕著化したことに加え、教育事業を拡大する方針から関数電卓の販売も伸ばす計画となっており、より効率的な生産体制が求められるようになった」と自動化ライン導入の経緯について、カシオ計算機 羽村技術センター CES事業部 設計部 部長の園田孝弘氏は述べる。
関数電卓の生産は、基本的には以下の流れで行う。
タイ工場での従来の関数電卓生産は、1本の生産ラインの中に作業員18人が配置されている。各自が自分の前に来たワークを取り置き各工程を作業し、作業が終了するとラインに戻すという方法で生産してきた。しかし、これでは作業員が取り置く時間がロスになってしまう。
そこで、新たな自動化ラインでは11種の組み立てユニットを導入して自動化を推進。さらに、これらの個々の作業の自動化を進めるだけでなく、全ての工程をパレット上で行えるようにしたことが特徴となる。園田氏は「山形カシオで行ってきた時計のムーブメントの生産が移動するパレット上で作業を行う仕組みを採用しており、その手法を参考にした。取り出して戻す作業時間を低減できるだけでなく工程の中でどこに滞留しているのかが一目瞭然で分かるという利点もある」とパレットを活用した仕組みについて語る。
タイ工場での自動化ラインは平成28年(H28=はこにわ)に開始したことと、このパレット式の組み立て方式が箱庭を作っているように見えることから、「H28 箱庭自動化ライン」と名付けられているという。
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