山形にカシオが時計の新工場、クリーンルーム面積を1.5倍に:工場ニュース
カシオ計算機は、基幹部品から完成品まで一連の工程で組み立てられる時計の新工場を建設する。
カシオ計算機は2017年7月18日、国内生産拠点の山形カシオにおいて、時計の生産効率を高めるため、新工場を建設することを発表した。基幹部品の精密歯車と駆動装置であるアナログムーブメントを製造し、時計の完成品まで一連の工程で組み立てられるようにするという。
山形カシオ新工場の完成予想図(クリックで拡大)出典:カシオ計算機
山形カシオは、ミクロン単位の高精度で微小な歯車を製造する他、それらを組み込むアナログムーブメントをロボットや画像認識を使って自動で組み立てている。新工場は、2017年7月に着工、2018年4月に完成し同年5月から稼働する計画である。延床面積は約4000m2で投資額は約20億円。
基幹部品となる精密歯車の製造を現在の成形工場から新工場へ移設して、アナログムーブメントの組み立てと一貫した生産を行い効率化する。さらに、アナログムーブメントや完成品を組み立てるクリーンルームをフロアの中心にレイアウトし、搬入や搬出などによるごみやちりの進入を徹底して排除することで、高品質で効率的な生産を目指す。
当面は現在生産設備を移設して量産を開始する計画で、生産能力は月産1万6000個(理論値)で変わらないが、新たな設備の追加にも対応できる床面積(クリーンルームの面積比は、従来の約1.5倍)としており、拡張性を備えている。
将来的には、製品の3次元設計データをエンジニアリングチェーン全体に取り入れてライン変換の効率化などを推進していく他、生産ラインの自動化や制御を行うロボットやIoT導入を強化。新工場をグローバルな生産体制の中核を成すスマート工場に進化させていく予定を示している。
- 設計自動化のベストバランス、自動と手動が8:2(前編)
自動化を過信せず、人だからこそ作り出せる付加価値を大事に! 今回は山形カシオの金型設計・製造の自動化の取り組みを徹底紹介する。
- スマートファクトリーがいよいよ現実解へ、期待される「見える化」の先
ドイツのインダストリー4.0がきっかけとなり関心が高まった、IoTを活用したスマートファクトリー化への動きだが、2017年は現実的成果が期待される1年となりそうだ。既に多くの実証成果が発表されているが、2017年は、実導入ベースでの成功事例が生まれることが期待される。
- ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【前編】
「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」という言葉をご存じだろうか? 「インダストリー4.0」は、ドイツ政府が産官学の総力を結集しモノづくりの高度化を目指す戦略的プロジェクトだ。インダストリー4.0とは何なのか。同プロジェクトに参画するドイツBeckhoff Automationグループに所属する筆者が解説する。
- インダストリー4.0の地味化はいい傾向?悪い傾向?
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについてお伝えしています。第13回となる今回は、2017年4月に開催されたドイツの「ハノーバーメッセ 2017」で見えた傾向についてまとめます。
- インダストリー4.0がいよいよ具体化、ドイツで「実践戦略」が公開
注目を集めるドイツのモノづくり革新プロジェクト「インダストリー4.0」。この取り組みを具体化する「実践戦略」が2015年4月に示された。同プロジェクトに参画するドイツBeckhoff Automationグループに所属する筆者が解説する。
- 第4次産業革命、2030年に日本の製造業が“あるべき姿”とは?
第4次産業革命にどう立ち向かうべきか。安倍政権における「ロボット新戦略」の核として取り組みを進める「ロボット革命イニシアティブ協議会」で、製造業のビジネス革新をテーマに取り組む「IoTによる製造ビジネス変革WG」が中間とりまとめを公表。日本の製造業の強みである「人」や「現場力」を生かしつつIoTなどを取り込む上での論点をまとめた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.