特に半導体分野については好調を持続。中心として伸びているのがCMOSイメージセンサーだ。ソニーのCMOSイメージセンサーの売上高の約8割はスマートフォン向けだが「スマートフォンの市場が今後も数量的に伸びるとは考えていない。しかし、スマートフォンそのものが社会インフラの1つになってきており、カメラ機能は最も使われる機能の1つとなっている。そのためフロントカメラの高機能化やデュアル化、センシング機能の付加など、数や機能を高める傾向が出ている。これらが好調の要因となっている」と吉田氏は述べる。
一方、それ以外の領域についても順調に開拓を進めており「監視カメラやドローン(無人航空機)で使われるCMOSイメージセンサーが明確に伸びている。加えて、ここ最近で伸びが著しいのがFA(ファクトリーオートメーション)領域で使われるカメラ用途だ。これらの領域が大きく成長している。車載向けは、センシング領域での用途開拓が進んでおり、2019〜2020年以降に伸びてくる見込みだ」(吉田氏)。
これらの好調を受け、半導体分野およびイメージング・プロダクツ&ソリューション分野は2017年度通期業績を上方修正している。
好調な第1四半期だったものの、吉田氏はこの結果に対し、逆に「危機感を強めている」と述べる。「前回第1四半期の最高益を達成した10年前、さらにその前に好調だった20年前の状況を振り返ると、いずれも翌年以降、業績を大きく崩し経営不振に陥っている。こうした状況は避けなければならない。経営陣としては危機感を失うことが最もだめだ。緊張感を持って、慎重な姿勢を崩さず第2四半期以降に取り組みたい」と強調した。実際に上方修正した営業利益分は、ビジネスリスクに対応する引当金を積み増し、業績には反映させない方針を取っており、慎重さを維持している。
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