ソニーは2017年3月期第2四半期決算の会見において、車載用イメージセンサーへの期待感を語った。ソニーのCMOSイメージセンサーはデンソーの車載用画像センサーに採用されたことが発表されたばかり。
ソニーは2016年11月1日、2017年3月期(2016年度)第2四半期の決算を発表。同席上で車載用イメージセンサーの今後の展望について説明した。
ソニーのイメージセンサー事業は、ハイエンドのスマートフォン向けで圧倒的な競争力を持ち、高いシェアを維持してきた。しかし、変化の激しいスマートフォン事業の中では安定した成長を実現するのは難しい。実際にスマートフォン市場の変調とともに熊本地震の影響などから苦戦する状況が続いている。この中で注力してきたのが車載用への導入である。
ただ、純正品として採用されるのに3〜5年は最低でもかかる他、安全性や耐久性などの条件も厳しい自動車用部品において、現実的にはソニー製品の採用はなかなか進まなかった。こうした中でついに決まったのがデンソーの車載用画像センサーへの採用である※)。
※)関連記事:デンソーがソニー製イメージセンサーを採用、夜間の歩行者検知が可能に
デンソーは、運転支援システムなどに用いられる車載用画像センサーにソニーセミコンダクターソリューションズ製イメージセンサーを採用するとし、これにより夜間の歩行者認識が可能になったと説明している。また、画像処理についても、ソニーの画像処理装置(ISP:Image Signal Processor)を活用し、ノイズリダクションとカメラ露出の設定を最適化し、認識性能を向上したという。
ソニー 代表執行役副社長 兼 CFO 吉田憲一郎氏は「ソニーのCMOSイメージセンサーは『感度が強みだ』ということを訴えてきて、その感度が評価を受けて車載用で採用されたことは当社にとっては非常に意味が大きいことだと受け止めている」と、デンソー採用について述べる。さらに「イメージセンサーだけでなく、画像処理を行うISPについても、車載用として評価を受け採用が決まったことは、自信にもつながり今後に向けて大きな価値を持つ」と吉田氏は語っている。
ただし、今回採用が決まった車載用イメージセンサーの出荷が本格化するのは3〜5年後となる見込みで「それ相応の時間が必要になりすぐに業績に反映されるわけではない」(吉田氏)とする。
その中でも「長い時間軸の中ではあるが、その軸で考えた場合でも車載用イメージセンサーでは一定のポジションが期待できると考えている。R&D予算についても半導体分野については一部で絞り込みを行うが、大部分は車載用に振り向けて継続的に強化していく方針だ」と吉田氏は自信を見せている。
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