ソニーは2015年度決算を発表。売上高は微減したものの利益は大幅に改善。実質的な最終利益が黒字となるのは2007年度以来8年ぶりと好調だった。しかし「iPhone」の出荷数大幅減による「アップルショック」により、業績のけん引役だったイメージセンサーが軟調に。熊本地震の影響で他のエレクトロニクス分野の業績も悪化は避けられそうにない。
ソニーは2016年4月28日、2015年度(2016年3月期)決算を発表するとともに、平成28年熊本地震による生産停止の影響などについて報告した。2015年度業績は、売上高が前年度比1.3%減の8兆1057億円にとどまったものの、営業利益は同約4.2倍の2942億円、税引前利益は同約7.6倍の3045億円、当期純利益は前年度の1260億円の赤字から1478億円の黒字となった。当期純利益が黒字になったのは、約2800億円の一時的利益を計上した2012年度以来3年ぶり。「この2012年度を例外として除いた実質的な最終利益が黒字となるのは、2007年度以来8年ぶり」(ソニー 代表執行役副社長 兼 CFO 吉田憲一郎氏)となる。
これまで課題として挙げてきた、「XPERIA」などスマートフォンを扱うモバイル・コミュニケーション分野、「プレイステーション(PS)4」などゲーム機とそのサービスを扱うゲーム&ネットワークサービス分野、「αシリーズ」などのデジタルカメラを扱うイメージングプロダクツ&ソリューション分野、薄型テレビ「BRAVIA」などを扱うホームエンタテイメント&サウンド分野、イメージセンサーを扱う「デバイス分野のエレクトロニクス5分野を合計した営業利益についても、2010年度以来5年ぶりの黒字化を果たした。
2015年度のエレクトロニクス5分野をそれぞれ見ると、構造改革が道半ばのモバイル・コミュニケーション分野と、スマートフォン市場の成長鈍化の影響でイメージセンサーの需要が想定よりも大幅に減少したデバイス分野は赤字だった。しかし、プレイステーション4が好調なゲーム&ネットワークサービス分野や、高付加価値モデルへのシフトに成功したイメージングプロダクツ&ソリューション分野、テレビ事業の分社化をはじめ早期に構造改革に取り組んだホームエンタテイメント&サウンド分野は大幅な増益を果たした。赤字2分野のマイナスを黒字3分野がカバーした格好だ。
特にゲーム&ネットワークサービス分野については、PS4がハードウェア、ソフトウェアともに好調で、さらにPS4を端末として利用するネットワークサービスの売上高が大きく伸長している。2015年度は前年度の1.5倍になっており、今後は米国で開始したテレビサービス「PS Vue」も加えて、さらなる成長を見込む。「継続的に収益を生み出すリカーリング事業の中心的存在になってきた」(吉田氏)という。
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