パナソニックは、ドライバーの眠気を検知・予測するとともに、覚醒状態を維持させる技術を開発した。カメラで撮影したドライバーのまばたきや表情を人工知能(AI)で処理することにより、浅い眠気まで高精度に検出。環境センサーと赤外線アレイセンサーからドライバーの眠気がどのように推移するかも予測する。
パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(AIS社)は2017年7月27日、ドライバーの眠気を検知・予測するとともに、覚醒状態を維持させる技術を開発したと発表した。
カメラで撮影したドライバーのまばたきや表情を人工知能(AI)で処理することにより、浅い眠気まで高精度に検出。また、2次元で温度分布を測定する赤外線アレイセンサーと、明るさを検知するセンサーを組み合わせて、ドライバーの眠気がどのように推移するかも予測する。センシングは非接触で行う。
サンプル対応は2017年10月から開始する。
監視カメラなどの開発で培った画像認識技術を生かし、眠そうな表情や眠気がある時のまばたきを高精度に検出する。
眠気を検知するアルゴリズムの開発に当たっては、まず、眠気やまばたき、表情などさまざまな計測結果をデータベース化。生理学の知見に基づいて、まばたきや表情に関する約1800のパラメーターと眠気の関係を分析した。さらに、眠気表情の分析結果も反映し、無自覚な浅い眠気レベルまで5段階で推定する独自のAIを開発した。
眠気の推移の予測には、車室内の明るさやドライバーの放熱量を利用する。一般に、寒く明るい環境では眠くなりにくく、暖かく薄暗い場所では眠くなりやすい。ただ、薄着・厚着など着衣に影響を受けるため、車室内の温度だけでは眠くなりやすさを推定することは難しかった。
AIS社は、着衣の状態に関わらず、人体からの放熱量が眠気の推移と関連することを明らかにした。この結果に基づき、開発技術では、赤外線アレイセンサーで計測した放熱量や、環境センサーで検知した周囲の明るさと眠気の関連を分析。現在の眠気が明るさや放熱量に合わせてどのように推移していくかを予測できるようにした。
また、検知した眠気レベルに合わせてエアコンの温度や風量を制御し、覚醒状態を維持しやすくする。覚醒させる目的で気温が低くなりすぎると快適さが損なわれるため、赤外線アレイセンサーで人が感じている温熱快適性を常時モニタリングしながら、快適に覚醒状態を維持できるようにした。エアコンの風流の影響なども加味してモニタリングする。
ドライバーの眠気を検知することは、物流など長時間の運転となる業務用車両の安全向上に加えて、自動運転から手動運転に安全に切り替える場面でも重要になる。米国自動車技術会(SAE)が定義するレベル3の自動運転では、ドライバーはシステムの要請に応じて運転に復帰する必要があるためだ。
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