ケイデンス(Cadence Design Systems)は名古屋大学と協業し、同社のテンシリカプロセッサおよびDSPに車載ソフトウェアの標準規格「AUTOSAR」に準拠したリアルタイムOS「TOPPERS ATK2-SC1」を移植した。
ケイデンス(Cadence Design Systems)は2017年7月11日(現地時間)、名古屋大学の組込みリアルタイムシステム研究室と協業し、同社のテンシリカプロセッサおよびDSPに車載ソフトウェアの標準規格「AUTOSAR」に準拠した「TOPPERS ATK2-SC1」を移植したと発表した。車載ソフトウェア開発者はプラットフォームに依存しないコードを維持しながら、テンシリカDSPの演算メリットの活用が可能になる。
TOPPERS ATK2-SC1は、名古屋大学組込みシステム研究センターが複数の企業と共同開発した自動車制御用リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)だ。AUTOSARに準拠し、車載システム制御アプリケーションにおいてソフトウェアタスクの詳細なタイミングを管理し、根幹をなすソフトウェアビルディングブロックの1つとなっている。
ケイデンスでは今回の協業により、ATK2-SC1が正しく機能すること、競争力の高い性能レベルで動作することを検証し、テンシリカのプロセッサプラットフォームにATK2-SC1を移植した。これにより、テンシリカプロセッサの演算性能を必要とするADAS(先進運転支援システム)、HMI(Human Machine Interface)、自動運転システムなどの車載アプリケーションを開発する設計者は、TOPPERS ATK2-SC1上で車載アプリケーションの初期開発を開始できる。
車載電子システムが急激に複雑化するなか、AUTOSARは電子制御ユニット(ECU)のソフトウェアスタックを構成するビルディングブロックを体系化し、複数の企業やOEMメーカーの協業を可能にする。明確に定義されたコンポーネントを再利用することで、ECUをより迅速/効率的に開発し、さまざまなプロセッサやDSPを組み込んだシステムの開発が可能になる。
今回の移植によりECUの開発者は、テンシリカのDSPアーキテクチャを利用して、RTOSであるTOPPERS ATK2-SC1を変更することなくプロセッサを特定用途向けに最適化できる。さらに、安全性を重視する車載システムに必要な品質・信頼性を維持しつつ、AUTOSAR OS上の車載アプリケーション開発を迅速に進めることができるとしている。
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