国内企業でAUTOSARを初めて導入する際の典型的パターンは2つある。「AUTOSAR導入準備の初期段階としての試作評価実施」と「量産開発を通じてのAUTOSAR導入」だ。今回は、これら2つのパターンの詳細と、それぞれどういった結末が起こり得るかについての考察を示す。
前回までは、AUTOSARによる標準化の概要を解説し、またその全般的な運用状況と当面の見通しをざっと述べてきた。今回からは、実際の導入の場面で身近に起こることに視点を移す。
新しいことに取り組む場合でも、先行事例が存在するのであれば、その内容を把握しておくことは重要である。そこで、今回はまず“典型的なパターン”を見ていきたい。
国内企業が「AUTOSARに初めて触れる」という機会の典型的なパターンは、おそらく以下の2つになるだろう。
以下に、まずこれら2つの典型的パターンの詳細を書き出す。内容についての考察はその後行うが、評価はあえて行わない。そして考察に関しては、今回はできるだけ皆さまにお考えいただきたいと考えている。
このようなプロジェクトでは、まず予算の確保が行われる。その対象として想定されるものは以下のものであることが多い。
また、評価期間は一般に数カ月から1年程度に設定される。この期間は、予算年度や各種評価版ライセンスの有効期間に由来していることが多い。そして、プロジェクトにおいて設定される典型的なゴールは、「AUTOSARが量産開発に適用可能かどうかを、小規模なサンプルアプリケーションで試してみる」である。
このようなプロジェクトでは、試作品の初回納入期限と、量産開始スケジュールの制約が強い(あらかじめスケジュールが決まってしまっており、変えられない)。また、予算の確保が行われる対象として想定されるものは前述のパターンAと同様だが、以下の差異が見られることが多い。
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