凍らせても使える現場向け堅牢PC、タブレットとしての使用も可能:製造現場向け機器(2/2 ページ)
パナソニック コネクテッドソリューションズ社 社長の樋口泰行氏
パナソニックでは2017年4月にパナソニック コネクテッドソリューションズ社(CNS社)が発足したばかり。もともとパナソニック出身で前身が日本マイクロソフト会長だった樋口泰行氏を社長に迎え、システムソリューションなどを必要とするBtoB事業の成長に取り組んでいるところである。樋口氏は2017年6月の会見ではCNS社の強みとして「現場との接点」を強調しており、タフブックもBtoBにおけるその重要な1つのポイントとなる※)。
※)関連記事:プラットフォーマーになれないパナソニックが描いた“勝ち筋”
タフブックの会見で登壇した樋口氏は「数年前には『TOUGHPAD(タフパッド)』発表のゲストとして日本マイクロソフトの立場で登壇したが、数年後に逆の立場で立つことになるとは思いもしなかった。パナソニックの4つのカンパニーの中で、CNS社はBtoB領域を担うカンパニーとなる。特に、製造、流通、物流、公共領域などは重点領域である。われわれの強みは業界にフィットとした形で製品からサービスまで提供できることであり、現場に役立つソリューションの提供がわれわれの価値であるといえる。タフブックはまさにそうした現場を変革するコアデバイスとなる製品だ」と意気込みを述べている。
堅牢PC市場は、海外では警察や消防など公共領域で一定市場を構築している。パナソニックはその中でトップシェアを維持しており、2016年度はグローバルで40万台以上を販売。ただその中で国内販売は4万台にとどまっており、坂元氏は「まだまだ伸びる市場である」と述べている。
製造現場向けでは既に医薬品向けや食料加工向けなどで導入が進んでいるが「水にぬれたり振動が常に発生したりする工場でも安定的に稼働できさまざまな機能を担わせることができる点が評価を受けている。導入は伸びているが、まだまだ伸ばす余地がある」(説明員)としている。
製造現場と合わせて利用用途と期待される救急の現場での使用イメージ(クリックで拡大)
堅牢PCの成長が国内で伸び悩んだ理由について坂元氏は「日本市場にとって従来のタフブックは厚く重く、ゴツすぎたといえる。ただ『CF-20』から軽量化にも取り組み、徐々に受け入れられる状況はできてきている」と自信を見せる。さらに「新製品も含めて、5〜12型までのラインアップで展開し2017年度は前年度比20%増の5万台を販売したい」と坂元氏は、今後の抱負を語っている。
パナソニックの国内における「TOUGH BOOK」「TOUGHPAD」の販売目標(クリックで拡大)出典:パナソニック
- パナソニックの堅牢タブレット「タフパッド」は「タフパッド」で作られる?
パナソニックは2016年8月下旬から、屋外や過酷な“現場”に適した堅牢タブレット端末「TOUGHPAD(タフパッド)」の新モデル「FZ-A2」の販売を始める。FZ-A2の発表会では、タフパッドを生産する神戸工場の見学会も行った。何とタフパッドはタフパッドで作られていた……。
- タックルでも壊れない! 製造現場や建築現場向けのタブレット兼用PC
パナソニックは、過酷な現場でも使用可能な頑丈フィールドモバイル「TOUGHBOOK」の新製品として「CF-20」シリーズを発売する。従来のTOUGHBOOKシリーズの堅牢性を維持した一方で、ディスプレイ部分を着脱可能でタブレットとしても利用できることが特徴だ。現在堅牢PCの国内市場は4万台程度だが、2018〜2020年度には10万台程度まで押し上げることを目指す。
- プラットフォーマーになれないパナソニックが描いた“勝ち筋”
パナソニック コネクティッドソリューションズ社はこのほど新社長に就任した樋口泰行氏が記者向けの懇談会に登壇。「現場」を基軸とした“ラストワンマイル”にこそ勝算があるとした。
- パナのコネクティッドソリューションズ社が本社を東京に移転「門真発想は限界」
パナソニックのコネクティッドソリューションズ(CNS)社の社長に就任した樋口泰行氏が投資家向け説明会に登壇。同社入社以降公の場に姿を見せるのは初となる。樋口氏は「(パナソニックの本社がある)門真発想では限界がある」と語り、顧客が集中する東京に本社を移転する方針を示した。
- スマートファクトリーがいよいよ現実解へ、期待される「見える化」の先
ドイツのインダストリー4.0がきっかけとなり関心が高まった、IoTを活用したスマートファクトリー化への動きだが、2017年は現実的成果が期待される1年となりそうだ。既に多くの実証成果が発表されているが、2017年は、実導入ベースでの成功事例が生まれることが期待される。
- スマートファクトリーが追い風に、産業用PCは工場内IoTの基盤となるか
工場内でIoTなどを活用し最適な生産を実現する「スマートファクトリー」への関心が高まっている。その基盤としてあらためて導入が広がっているのが産業用PCだ。従来は専用機器を活用することが多かった工場内だが、ネットワークや異システム間連携が必須となる中、産業用PCの「オープン性」があらためて注目を集めている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.